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『シンプルな英語』技術翻訳のプロが教える英語上達法

中山裕木子といえば、特許翻訳のスペシャリスト。

技術翻訳の分野では『技術系英文ライティング教本』という名著で昔から名が知られていました。

また『会話もメールも英語は3語で伝わります』がベストセラーになったことでその名を知った人も多いはず。

本書『シンプルな英語』(講談社現代新書)は、その技術英語のスペシャリストが英文作成の方法論について基礎からくわしく解説したもの。

約300ページとかなりのボリューム。

英作文やスピーキング(英会話)の力を伸ばしたい人には、非常に得るものの多い新書となっています。

本書の構成はだいたい以下のとおり。

1. シンプルな英語とは何か
2. 主語と動詞で組み立てる(SVO中心に)
3. 主語と動詞で組み立てる(SVとSVCも使う)
4. 時制、受動態、助動詞の使い方
5. 冠詞、前置詞、副詞の使い方
6. スピーキングの練習方法
7. リーディングとリスニングで語彙習得する方法
8. 英語学習を継続させるコツ

 

主語と動詞を決める力が英語力の土台

著者によると、英語力の土台になるのは「主語と動詞を決める力」です。これが欠けていると、英語力は思ったように伸びていかないとのこと。

頭に浮かんだ日本語から、英文の主語となるものを取り出し(それが日本語文における主語とは限らない)、取り出した主語にぴったり合う動詞をくっつける。

これが英文作成の基礎となります。

 

ではどんな英文に組み立てればいいのでしょうか?

これに対して著者は「SVO構造で組み立てよ」というわけです。

Sは主語、Vは動詞、Oは目的語のこと。

このSVO構造こそが著者のいう「シンプルな英語」であり、また「英語は3語で伝わります」というときのその「3語」の内容にほかなりません。

 

本書では第2章から第5章まで約150ページを費やし、このシンプルな英語を組み立てるための技法が次々と紹介されていきます。

ポイントは次の5つ。

・具体的な主語から文を開始する
・力強い動詞を使う
・受け身を減らす
・シンプルな単文で表す
・否定のnot文を減らす

たとえば「英語を学ぶことは大切です」を英訳するとしましょう。

学校英語に馴染んだわれわれからすると。

It is important to learn English.

と書きたくなるところですが、著者はこれをSVO構造の

We must learn English.

と、訳しています。

なんか逆に難しくない?

たしかに学校英語が身についてしまっていると逆に難しく感じますよね。

日本語でイメージ→学校英語に英訳→シンプルな英語に英訳みたいな感じになって、むしろ手順が増えてるんじゃないか的な。

まだ変な英語が身についていない初心者レベルの人のほうが、逆に有利かもしれません。

 

英語スピーキングの練習方法

本書の第6章はスピーキングの練習方法が書かれています。ポイントは3つ。

1. あらかじめ英文を組み立てておく
2. 発話を練習したら発表する
3. 発話を振り返って改善する

著者いわく、英語は闇練習が重要とのこと。いきなり話すのではなく、自分が話す内容の英文をあらかじめストックしておきます

このさい、冠詞や単数複数など細かい部分まで完璧に抑えておくのが大切らしい。実践は間違えまくっても問題なしですが、事前準備では正確性が必要になります。

また発表の場にはオンライン英会話がおすすめされています。

後で振り返りができるように、自分の発話はすべて録音しておくことが望ましいとのこと。

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シンプルな英語でリーディングとリスニングも上達する

著者いわく、シンプルな英語を練習することで、リーディングとリスニングにも良い影響が生じるとのこと。

リーディングでもリスニングでも、主語と動詞に焦点を当てることで実力が伸びていくといいます。

たとえばリーディングでは主語と動詞に印をつけながら読んでいくと理解が早くなるそうです。

僕も多読の初期の頃には主語に印をつけて、文と文のあいだをスラッシュで区切ってました。

リスニングも全体を完璧に聞こうとするのはダメで、むしろまず主語と動詞を聞き取るように心がけるべきだと。主語と動詞さえつかめれば、部分的な聞き逃しがあっても、話の全体像はつかめると著者はいいます。

ちなみに本書で推奨される最強のリスニング勉強法は、やはりシャドーイング。

 

『英語は3語で伝わります』と『技術系英文ライティング教本』もおすすめ

『シンプルな英語』はかなり体系的な内容となっています。悪くいうと散漫で要点が捕まえづらい感じ。

SVOでシンプルに英語を組み立てるコツだけトレーニングしたいという人には、『英語は3語で伝わります』のほうが読みやすいと思います。

また英語を書く機会のある人には名著『技術系英文ライティング教本』もおすすめ。英作文の力が大きく向上するでしょう。

 

『英語は3語で伝わります』についての記事はこちら。

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