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デール・カーネギーで学ぶ英語『人を動かす』

デール・カーネギーは、20世紀初頭のアメリカで活躍した伝説的な作家兼スピーチトレーナー。彼の業績がのちの自己啓発ジャンルの成長につながります。

代表作のひとつがHow to Friends & Influence People(日本語版タイトルは『人を動かす』)。対人関係にテーマをしぼった本。世界で1500万冊以上、日本だけでも400万冊以上が売れている異常なベストセラー。

今回はこの本の最初のページを原書で読んでいきましょう。

デール・カーネギーの『人を動かす』を原書で読む

ではまず冒頭パートを引用します。

On May 7, 1931, the most sensational manhunt New York City had ever known had come to its climax. After weeks of search, “Two Gun” Crowley­–the killer, the gunman who didn’t smoke or drink–was at bay, trapped in his sweetheart’s apartment on West End Avenue.

One hundred and fifty policemen and detectives laid siege to his top-floor hideaway. They chopped holes in the roof; they tried to smoke out Crowley, the “cop killer,” with tear gas. Then they mounted their machine guns on surrounding buildings, and for more than an hour one of New York’s fine residential areas reverberated with the crack of pistol fire and the rattat-tat of machine guns. Crowley, crouching behind an overstuffed chair, fired incessantly at the police. Ten thousand excited people watched the battle. Nothing like it had ever been seen before on the sidewalks of New York.

 

では1文ずつ見ていきましょう。

On May 7, 1931, the most sensational manhunt New Yor City had ever known had come to its climax.

「1931年5月7日のニューヨークで、前代未聞の捜索劇がクライマックスを迎えようとしていた」

この文章を読み解くには、New York City had ever knownの部分をカッコに入れるのがコツです。この部分が前のthe most sensational manhuntにかかってます。

重要なのは主語パートと述語パート、すなわち「the most sensational manhunt」と「had come to its climax」です。この部分さえつかめれば、補足部分はスルーしても大意を理解できます。

長文読解になれてくると、いちいち考えなくても、このようなコア部分を自然と突き止められるようになってきます。

(On May 7, 1931,) the most sensational manhunt (New Yor City had ever known) had come to its climax.

…というふうに。

New York City had ever knownとhad come to its climaxはどちらも過去完了形。語りの起点となっている1931年5月7日より前の出来事で、それが1931年5月7日までつながっていることを表します(つながってないなら単に過去形を使う)。

では次の文章にいきましょう。

 

After weeks of search, “Two Gun” Crowley­–the killer, the gunman who didn’t smoke or drink–was at bay, trapped in his sweetheart’s apartment on West End Avenue.

「数週間にもわたる捜索の結果、殺人犯でピストルの名手、ところがタバコも酒もやらないという”2丁ピストルのクローリー”が、ついに追い詰められ、ウエストエンド大通りにあるガールフレンドのアパートに包囲されたのである」

ここでも主語パートと述語パートを浮かび上がらせるのが最重要。”Two Gun” Crowlyとwas at bayです。要するに「クロウリーは追い詰められて大ピンチ」というのがこの文章の主眼。

後は補足なのでアタマのなかでカッコに入れてしまいましょう。

(After weeks of search,) “Two Gun” Crowly(­–the killer, the gunman who didn’t smoke or drink–)was at bay, (trapped in his sweetheart’s apartment on West End Avenue.)

…というふうに読みます。

ダッシュ記号はわかりやすい情報補足のカタチ。主語のCrowlyを補足説明しています。関係詞がぜんぶこういうダッシュなら楽になるんですけどね。

・at bay 追い詰められて

 

では次。

One hundred and fifty policemen and detectives laid siege to his top-floor hideaway.

「犯人が潜伏するアパートの最上階を、150人の警官隊が包囲した。」

ここは簡単。単語さえ知っていれば読める文章。

・lay siege to 包囲する
・hideaway 隠れ家
・top-floor 最上階

 

They chopped holes in the roof; they tried to smoke out Crowley, the “cop killer,” with tear gas.

「警官隊は屋根に穴を開けると催涙ガスを送り込み、”警官の始末屋”クロウリーをいぶし出しにかかった。」

theyは警官隊のことです。

カンマに区切られた the “cop killer”の部分は、直前にあるCrowleyの補足説明。頭の中でカッコに入れてしまいましょう。they tried to smoke out Crowley with tear gas.となって読みやすくなります。

・chop hole 穴を開ける(前置詞がinなのが日本人には不思議)
・smoke out あぶり出す、追い出す

 

Then they mounted their machine guns on surrounding buildings, and for more than an hour one of New York’s fine residential areas reverberated with the crack of pistol fire and the rattat-tat of machine guns.

「さらに彼らは周囲のビルの屋上にマシンガンを据えつけた。こうしてニューヨークの高級住宅街には、1時間以上にわたって、ピストルとマシンガンの銃声がとどろくことになったのである。」

ここのtheyも警官隊のこと。

・mount ここでは「据え付ける」の意味
・reverberate with ~がとどろきわたる
・crackはここではピストルの銃声
・rattat-tatは短く鋭い音の連続でここではマシンガンの銃声

crackとかrattat-tatだけを提示されるとほとんどの日本人には意味がわかりませんが(僕も知らなかった)、ここまで読んできた文脈があれば意味を推測できますよね。

mountとかreverberate withもなんとなくイメージできるかと思います。洋書を読んでいくとなると、このような推測読みも重要になってきます。

 

Crowley, crouching behind an overstuffed chair, fired incessantly at the police. Ten thousand excited people watched the battle. Nothing like it had ever been seen before on the sidewalks of New York.

「クローリーは、分厚いソファーの陰から、警官めがけて撃ちまくる。1万人の野次馬がこの激闘を見守っていた。ニューヨークではこれほどの大騒ぎはいまだかつてなかった。」

Crowleyが主語。次の単語がカンマに区切られたing型なのを見てすぐに「これは補足情報だな」と見抜けます。

じゃあ動詞はどこだろうと意識を切り替えてfired(発砲した)を見つける流れ。

最後の文はNothing like itが主語の受身形です。おまけに過去完了なので、クロウリー事件を起点にしてそこから過去を振り返っています。

nothingが主語になるときは、変に考え出すと頭が混乱しますが、「単なる否定形だな」と見なせばスムーズにいきます。

Nothing like it had ever been seen before.(そのようなものはこの大事件以前には見られなかった)

 

最後に訳をまとめておきます。

「1931年5月7日のニューヨークで、前代未聞の捜索劇がクライマックスを迎えようとしていた。

数週間にもわたる捜索の結果、殺人犯でピストルの名手、ところがタバコも酒もやらないという”2丁ピストルのクローリー”が、ついに追い詰められ、ウエストエンド大通りにあるガールフレンドのアパートに包囲されたのである。

犯人が潜伏するアパートの最上階を、150人の警官隊が包囲した。警官隊は屋根に穴を開けると催涙ガスを送り込み、”警官の始末屋”クロウリーをいぶし出しにかかった。

さらに彼らは周囲のビルの屋上にマシンガンを据えつけた。こうしてニューヨークの高級住宅街には、1時間以上にわたって、ピストルとマシンガンの銃声がとどろくことになったのである。

クローリーは、分厚いソファーの陰から、警官めがけて撃ちまくる。1万人の野次馬がこの激闘を見守っていた。ニューヨークではこれほどの大騒ぎはいまだかつてなかった。」

 

まとめ

以上、デール・カーネギー『人を動かす』原書の冒頭を紹介しました。

『人を動かす』という啓発本の出だしにしてはやけにぶっそうな内容ですよね。

この殺人犯でさえ「自分は心の清らかな人間だ」と思っていたというふうに話は続きます。だれでも自分のことはかわいい。だから批判や避難を投げつけるだけでは人を動かすことはできない。

これが第1章のメインメッセージになっています。

この本は意外と文章の負荷が高い気がします。姉妹編の『道は開ける』のほうが読みやすい印象。カーネギーの洋書を読むなら先にあっちを読むのがおすすめかも。

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