
いつか英語ができるようになりたい…。でも自分には才能がないし、続けても意味ないかも。時間と労力のムダかもな。
このように迷っている人は多いかもしれません。
しかし、実は英語の習得に特別な才能は必要ないのです。
たしかに語学の才能というものは存在して、「短期間で」外国語をマスターするにはこの才能が必要です。
しかし、第二言語習得(SLA)の研究成果によると、長期的に見れば才能がなくても習得できるのが外国語なのです。
以下、くわしく解説していきます。
そもそも「英語の才能」とは何か?
長期においては、英語の習得に特別な才能は必要ありません。
確かに、英語にもセンスのある無しは存在します。語学の天才はいつの時代にもいますし、そこまでいかなくても、同学年にやたら英語のセンスがある人っていましたよね。
でも一口に「英語の才能」といっても、それには色んな種類があります。
たとえば運動神経がいいといっても、その内実は色々ですよね。
・球技が得意な人
・陸上が得意な人
・水泳が得意な人
・体操が得意な人
全部でナンバーワンになれる人はいません。
語学でも同じです。英語のセンスといっても、それは色々な要素から成り立っているんです。
そして、誰もが自分なりの得意分野をもっています。他人との比較ではなく、自分のなかで相対的に秀でた部分があります。それを見つけることが重要。
ではまず、英語の才能を各要素に分解してみましょう。
英語のセンスは3つの要素に分けられる
たとえば第二言語習得研究でよく参照されるMordern Language Aptitude Test (MLAT)では、次の3つの観点から言語適正を測ります。
・音声認識
・言語分析
・記憶力
才能その1 音声認識
まず音声認識。これは耳の良さですね。
この能力が高い人は、日本語には存在しない音でもすぐに聞き分けることができます。
また発音もすごいスピードで向上していくのが特徴。外国語の習得において、実は聴解と発音に大きな関係があることがわかっています。
英会話のような分野で飛び抜けた成績を出す人は、この音声認識の能力が優れているケースが多いですね。
才能その2 言語分析
次に言語分析。これは文法を理解したり、文章を読解する能力です。
文章の構文をパッと見抜いたり、難しい文章をスラスラ読んだりできる人は、この能力が優れています。
言語分析力は母語の読解力とも比例します。したがってこの才能をもっている人は日本語での読書も得意ですし、国語の成績も高いはずです。
学校の英語授業でずば抜けた成績を残す人は、たいてい言語分析の能力が高いですね。
才能その3 記憶力
最後に記憶力。これはわかりやすいですね。読んで字のごとく、インプットした情報を暗記する力です。
外国語をマスターするには、単語や言い回しなど膨大な情報を記憶する必要があります。したがって記憶力がよければよいほど有利になるんですね。
語学の達人と呼ばれる人は、たいてい記憶力が人並み外れているという研究報告もあります。
もっと細かい分けかたもありますが、大まかに見ても英語のセンスはこの3つの要素に分けることができます。
自分の適正を見極めて学習方法に活かそう

ふーん…でも正直どれにも自信がないんだけど…
どれもまったくダメという人はいないです。自分のなかで相対的に得意な方向性があるはず。
他人と比べてどうこうというより、自分はどこが得意でどこが苦手なのかを見極めて、それを学習に活かすことが重要です。
・音声認識が得意 → リスニングとシャドーイングを中心に学習する
・言語分析が得意 → 文法をマスターし、読解を中心に英語力を伸ばす
・記憶力が強い → フレーズ暗記を活かしてライティング力とスピーキング力を伸ばす
このように、自分の適性に合わせた学習方法を選べば、効率的に英語を習得できます。
長期の英語学習では動機づけが大事

じゃあ勉強を続ければ英語力は伸びていくのか…。でも長い間ずっと勉強を続けるのって大変じゃない?実際それに成功している人って多くないし。
たしかに、長期的に英語の学習を持続するのは簡単なことではないですよね。
ここで重要になってくるのが、動機づけです。
動機づけとは、モチベーションのこと。やる気の源泉といってもいいですね。第二言語習得(SLA)研究によると、長期的にはセンスよりもこの動機づけが効いてきます。
動機づけには2種類あります。統合的動機づけと道具的動機づけです。どちらでもオーケー。
総合的動機づけとは?
統合的動機づけとは、たとえば英語圏の文化への憧れとかですね。
・洋楽の歌詞を理解したい
・海外の小説を原書で読みたい
・いつか英語圏に住みたい
こういう文化そのものへの興味が英語学習のモチベーションアップにつながるとき、それを統合的動機づけと呼びます。
道具的動機づけとは?
一方で道具的動機づけとは、語学を目的達成のツールとして捉えるタイプです。
・TOEICのスコアを上げてキャリアアップしたい
・海外の取引先と英語で仕事をしたい
・旅行先で困らないようにしたい
具体的な目標を達成するためのツールとして英語があって、その目標のために英語学習の動機づけがなされているんですね。これを道具的動機づけといいます。
動機づけをはっきりさせることが英語学習成功のカギ
統合的動機づけと道具的動機づけ、どちらでもオーケーです。重要なのは、この動機がはっきりと定まっていること。
ここがしっかりしていると、長期的な学習が持続します。
逆にこの動機づけが弱いと、途中で挫折する可能性が高くなるんですよね。
「なんとなく英語が使えたら便利そうだし」みたいなあやふやな動機づけだと、ほぼ確実に失敗すると思います。
一度自分の動機づけを見直して、「自分はこれこれのために英語を勉強しているんだ」というビジョンをはっきりさせることが重要ですね。
まとめ
最後に、この記事のポイントをまとめます。
・英語の才能は「音声認識」「言語分析」「記憶力」の3つに分けられる
・自分の適性を知り、それに合った学習法を選ぶことで効率がアップする
・長期的な学習には「動機づけ」をはっきりさせることが不可欠
・動機づけには「統合的動機づけ」と「道具的動機づけ」の2種類がある
そして最後に1つ、あなたに質問です。
「あなたが英語を学ぶ理由は何ですか?」
この答えが明確になった瞬間、あなたの英語学習は飛躍的に加速するでしょう。
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