好きな洋書や英字新聞をどんどん読んでいける英文読解力。勉強と意識しなくても、読みたい本を読んでいるだけで自動的に英語力が上がっていく境地。
どうやったらこういう段階に到達できるんだろう…?
この記事ではそのロードマップを示してみたいと思います。
僕が多読を始めたのは2009年のことでした。それから十数年で300冊近くの洋書を読んでいます。
最初からスラスラ読めたわけではなく、中学高校の英文法を復習し、英単語を増強し、精読トレーニングを積み、数をこなしていくうちにいつのまにか読解力は向上していました。
僕がやってきた試みのうち、自分的にとくに効果があったもの、また第二言語習得研究と照らし合わせて正しいと判断できるものだけを抽出してお伝えしようと思います。
1万語以上の英単語力を身につけよう
まずは英単語の勉強を始めます。単語を知らないとどうにもならないですからね。
ケンブリッジ大学の研究では登場する単語のうち98%を知らないと多読の効果は出ないとされているほどです。単語を覚えていない場合、そもそも多読のスタートラインにすら立てなくなってしまうわけです。
英単語暗記は初心者がやるものみたいなイメージがあるかもしれません(昔の僕はそう思ってました)。しかし実は中上級者にもボキャビル増強は必須で、上級の壁を突破するには語彙力が欠かせないのです。
目標は1万語以上、もっと具体的に言えば1万2千語です。この段階に達すると、ほとんどの洋書が辞書なしで理解できるようになります。
中学レベルからTOEIC900点レベルまではZ会の「速読英単語」シリーズだけやればオーケー。長文のなかで英単語を覚えることで記憶が定着しやすくなり、同時に英文読解の基礎トレーニングにもなります。
このシリーズを超える範囲は「究極の英単語」をやります。これをVol.4までマスターするとちょうど1万2千語に到達します。
テキストの選び方や使い方については以下の記事を参考にしてみてください
英文読解マスターに必要な英単語学習【参考書はこの2種類でOK】
なお英単語の習得はとても時間がかかりますから、他のトレーニングと並行して長期的にやっていきます。
英文法は中学高校レベルでオーケー
英単語の暗記と同時並行で英文法の復習もすませてしまいましょう。単語と並び、英文法はぜったいに必要です。
英単語と違って、英文法に関しては中学高校レベルで十分です。高校英語の文法ってレベルが高いので、それでカバーできないものはほとんどありません。
僕は高校生用の文法参考書で復習しただけですが、それで問題なく洋書や英字新聞を読みこなせるようになりました。
高校までの英文法がある程度身についている人ならば、このステップはさっと終わります。
中学レベルに大きな穴がある場合でも、中学レベルと高校レベルそれぞれ2冊の参考書をこなすだけで文法はマスター可能です。
おすすめの英文法テキストとその使い方については以下の記事を参考にしてみてください。
精読は多読のベースになる不可欠の力
いよいよ読解へと入っていくわけですが、まずは精読からスタートします。英文の内容をしっかり理解できるようになることが大切です。
多読や速読といってもそのベースは精読ですからね。後述するように多読は自分が理解できるものを読まないと効果が出ませんから、この精読トレーニングで読解力を伸ばすほどに、多読の対象にできる読み物は増えていきます。
精読トレーニングでどのようなテキストを使うかはその人のレベルによって変わります。
初期段階でしたら速読英単語や英文法テキストでの学習がそのまま精読の訓練にもなりますから、とくに個別のトレーニングをする必要はありません。
中上級の学習者は、受験生用の高難易度テキストを使って精読力を仕上げます。テキストは1冊だけやれば十分です。英文法を完璧にマスターしたらこのステップに取り組みましょう。
おすすめの精読テキストとその使い方については以下の記事を参考にしてみてください。
英語精読の正しいやり方とおすすめ参考書がこれ【半年で効果でます】
音読で英文を前から読み下せるようになろう
多読をするためにはゆっくり正確に読めるだけでは十分じゃなくて、英文を前から後ろへとどんどん読み下せていけるのが望ましいです。
後ろから返り読みして意味を理解するのではなく、ネイティブと同じ感覚で順番通りに英語をガンガン読み下すわけです。こうすると読解スピードが速くなり、インプットの量を稼ぐのが簡単になります。
どうやったらこれができるようになるのか?
1つ目のカギが音読にあります。これは通訳の神様として知られる國弘正雄が書いていることですが、音読をすることで英語を順番通りに読む力が身につくのです。
注意点として、音読にはモデル音声が必要です。自分勝手な発音でやたらめったら音読するのではなく、モデル音声にしたがって英文を読み上げていく必要があります。
音読の正しいやり方については以下の記事を参考にしてみてください。
また英語字幕付きの動画を見ることで自然とスラッシュリーディングの訓練になり、英文を前から後ろへ読み下せるようになるというワザもあります。
詳しくは次の記事を参考にしてみてください。
音読は個別に教材を用意する必要はありません。音声が付属していればなんでもいいです。
英単語や精読で使っているテキストを使いまわして音読にも役立てましょう。とくに速読英単語シリーズは音声が付属しているため音読には最適です。
多読は理解できるものだけを読もう
さていよいよ多読に突入していきます。
多読における最大のポイント。それは理解できるものを読むということです。
理解できない本を多読しても効果ないので注意してください。多読しても効果が出なかったという人は、ほぼ例外なくここでミスっていると思います。
具体的にいえば最低でも登場する単語の90%以上(理想をいえば98%以上)がわかるテキストを読む必要があります。
だから多読の前に英単語や英文法や精読のトレーニングが欠かせないんだね。
語彙力や構文解読力が貧弱だと、多読の対象にできる本がぜんぜん見当たらない状態になってしまいますからね。無理してわからない文章を読んでも効果ないですし。
なお多読のペースは年間50万語を目標にしてみてください。ポール・ネイション博士によると、これが多読が効果を発揮するボーダーラインです。慣れてきたら年間100万語を目指しましょう。
50万語とか100万語とか聞くとそれだけで心が折れそうになるかもしれません。しかし以下の記事で解説しているように、年間100万語は実はそれほどハードじゃないんです。
英語の多読と多聴ってどれくらいの量が必要?【年間100万語】
まずはGraded ReadersやLeveled Readersといったやさしいテキストから始めましょう。慣れてきたら本格的な洋書に挑戦するといいですよ。
詳しくは以下の記事を参考にしてみてください。
アウトプットにつなげよう
最後におまけとして、アウトプットについても述べておきます。
せっかくインプットした莫大な英語の情報。そのままじゃもったいないのでアウトプットにもつなげましょう。
膨大なインプットをしてきた人がアウトプット回路を作ると、そこそこ英会話が得意ぐらいの人を一気に追い抜いていきます。
でもどうやって英語のアウトプット回路を育てればいいんだろう?アウトプットはさらに苦手なんだけど…
まずは瞬間英作文というトレーニングに取り組むのがおすすめです。
瞬間英作文の発明者である森沢洋介も最初はインプットに偏重していたそうですが、このトレーニングを繰り返すことで一気にアウトプットができるようになったといいます。
いきなり英会話や英作文のトレーニングに飛び込むのはハードルが高いので、まずは瞬間英作文でアウトプット回路の基礎を固めるのがいいでしょう。
瞬間英作文のやり方やおすすめテキストについては以下の記事を参考にしてみてください。
わたくし最近はnoteのほうに英語学習の記事を書いてます。名作の英文読解とかニュース動画でボキャビル増強とかやってるので、よければフォローお願いします↓