英語のアウトプット力を伸ばしたいのなら、瞬間英作文という学習法が圧倒的におすすめです。
瞬間英作文とは、与えられた日本語文から中学レベルの英文を瞬間的に次々と作り出していくトレーニングです。
たとえば「わたしは昨日トムに会いました」「私はトムに会ったことがあります」「あなたはトムに会ったことがありますか?」といった文章が与えられて、それに対して即座にI saw Tom yesterday.とかI have seen Tom.とかHave you seen Tom?といったふうに英文を組み立てるのです。
一つ一つの文章はとても簡単なのですが、それを次々に瞬間的に組み立てろと言われると、かなりの負荷があります。そしてこれが強烈に効きます。
効果は次の通り。
・ライティング力が上がる
・使える英文法が体得できる
・文法的な観察眼が磨かれる
スピーキング力やライティング力が上がるのはもちろん、頭のなかに詰め込んだ文法知識が実践で使える技術に変化していきます。
さらに文法的な観察眼が磨かれることでリーディング力も上昇し、それが新しい英語表現の吸収につながり、さらにアウトプット力が上昇していく…という好循環が生まれるのです。
したがって、中学レベルの英文法と英単語をマスターしたら、すぐに瞬間英作文のトレーニングを開始することをおすすめします。
僕はもともと英作文とスピーキングが苦手だったんですが、瞬間英作文のトレーニングを始めてからは、英語が出てこなくて地蔵と化してしまうみたいなことはなくなりました。TOEFLや英検にも効きます。
では瞬間英作文のトレーニングにどういう教材を使えばいいのでしょうか?
この記事ではおすすめの教材を紹介したいと思います。
なお、以下で紹介する瞬間英作文のテキストに登場する英文をそもそも理解できないという人は、まず中学レベルの英文法と英単語をマスターしてください。文法と単語の勉強法については以下の記事を参照のこと。
・洋書を読めるようになる英単語学習【参考書はこの2種類でOK】
まずは森沢洋介の瞬間英作文シリーズから始めよう
まずは森沢洋介の瞬間英作文シリーズをこなしていきましょう。この人は瞬間英作文を世に広めた張本人で、専用のテキストを何冊も出しています。そしてそのクオリティは間違いなし。使うのは以下の3冊だけで大丈夫です。
まずはこの青い表紙の『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』から始めましょう。
パート1~パート3に分かれ、パート1が中学1年レベル、パート2が中学2年レベル、パート3が中学3年レベルになっています。
一番最初の文章は「これは良い本です」。一番最後の文章は「飛行機が到着する時間を知っていますか?」。
簡単ですよね。でもこれを次々に瞬間的に英作文しろと言われると、文法ミスがポロポロ出てくるものなんです。それを修正していくことで英語のアウトプット回路が飛躍的に伸びていきます。
文章はぜんぶで800近くあります。本書を1周すれば約800の文章を瞬間英作文することになりますから、かなりの力がつきますよ。
次にこれまた森沢洋介の『スラスラ話すための瞬間英作文シャッフルトレーニング』をやっていきましょう。緑の表紙が目印。
これは文型がシャッフルされる点が特徴です。その効果で、英文を組み立てるための反射神経がさらに成長していきます。
『どんどん~』のほうでは文法ごとに例文が並んでいました。たとえば「受動態」とか「過去形」とか。
しかしこの『スラスラ~』では異なる文型が次々と入れ替わって提示されたり、やや長めの文章にいくつもの文型が組み込まれていたりします。だからだいぶ負荷は高くなりますね。とくに後半はけっこうしんどい。
とはいえあくまでも中学レベルの単語と文法の範囲内ですから、一冊目の『どんどん~』をマスターしていればちゃんとついていけます。
もう一冊だけ、森沢洋介のテキストを使いましょう。赤い表紙が目印の『ポンポン話すための瞬間英作文パターン・プラクティス』です。
これは一つの文章を様々な文型に変形していくトレーニングです。継続的に取り組むことで英語の運用力がアップします。
たとえば最初に「私は学生です」という文章が提示されたとしましょう。読者はそれを「I am a student.」と瞬間的に英作文しますよね。
そこからが前作までと違って、この本では次に「あなたは」とか「…でした」とかの部分的ヒントが与えられます。読者はそれに反応して、最初の文を「You are a student.」とか「I was a student.」とかいうふうに瞬間的に変形していくわけです。
一つ一つの文章は2冊目の『スラスラ~』と比べて簡単なのですが、瞬間的に変形しろといわれると、思わぬミスが頻発します。このテキストも非常に効果が高いですよ。
瞬間英作文シリーズにはさらに金色の表紙の基本動詞トレーニングというのがあります。ただ、あれは負荷が高すぎるからやらなくていいです。
getとかmakeとかの基本動詞だけで様々な内容を表す英文を組み立てるトレーニングなのですが、決り文句の知識がないとそもそも無理ゲーな場面が多いですからね。
瞬間英作文というより、イディオムを増やす目的で取り組むなら有効だと思います。暗記ものとして使う感じですね。
次は長文テキストで瞬間英作文をしよう
さて「瞬間英作文」シリーズを3冊こなせば、中学レベルの短文でのアウトプットは免許皆伝になっていると思います。
そこで次に取り組むのは中学レベルの長文テキストになります。瞬間英作文用にアレンジされた文章ではなくて、普通の長文を瞬間英作文していくんですね。こちらの都合などおかまいなしに色んな文型がバンバン出てきますから、いいトレーニングになります。
では中学レベルの長文テキストはどれを使えばいいのか?
これがなかなか種類がないんですよね。森沢洋介は中学校の教科書ガイドをおすすめしていますが、手に入りにくいのが圧倒的な弱点。
僕がおすすめするのはZ会が出している「速読英単語」シリーズの中学版です。
ページ見開き左側に英語の長文、右側に日本語訳という構成。
この学習段階はテキストの選択肢がほんと少ないので、Z会のこの教材はめちゃくちゃ貴重です。
英語テキストって山ほど出てるけど、一番肝心の中学レベルが意外と少ないよね…
次に高校レベルの短文テキストに取り組もう
さて次は高校レベルの短文テキストで瞬間英作文していきます。高校英語はむやみにレベルが高いので、長文はやらなくていいです。短文だけでオーケー。
おすすめの教材は『英作文基本300選』。受験生用のテキストとして非常に有名なシリーズで、これが瞬間英作文にも使えます。
300じゃきつすぎるという人は『ドラゴンイングリッシュ』でも十分だと思います。こっちは100個の例題が登場。
逆に100とか300じゃ物足りないという人なら『英作文基本700選』がいいでしょう。
なお、高校レベルの長文になるとレベルが高すぎるので瞬間英作文はきついと思います。そのレベルの長文をトレーニングしたいのなら、TOEFLや英検のスピーキングないしライティングの学習に向かったほうがいいですよ。
おまけ~3語で伝わる英語をアウトプット
おまけの一冊として、中山裕木子の『英語は3語で伝わります どんどん話せる練習英文100』をイチオシしておきます。
特許翻訳者の著者が書いた前著『会話もメールも英語は3語で伝わります』はベストセラーになりましたが、本書はそのトレーニング編です。
3語というのはSVO構文のこと。英語圏の人って日本人からすると思いもよらぬものを主語にもってきて、スッとした文章を作り上げますよね。無生物主語の構文なんかはその代表格です。
本書ではそうしたシンプルなSVO構文にさまざまな内容を落とし込めるように読者をトレーニングしてくれます。英語らしい英語がアウトプットできるようになるわけですね。
実はこの本が瞬間英作文のテキストとして使えます。
森沢洋介のテキストや、受験生用の参考書では、英文の形にまではこだわっていませんでした。本書を使うと、より実践的で本格的な形の英文を組み立てられるようになります。
関連:特許翻訳者に教わる英作文の極意『会話もメールも英語は3語で伝わります』【書評】
次は英検かTOEFLもしくはオンライン英会話に挑戦しよう
以上、瞬間英作文のトレーニングに使えるテキストを紹介しました。
ここまでくればアウトプット力が相当伸びていると思います。さらに力を伸ばしたい人は、普通のスピーキングやライティングの学習につなげるだけ。
どちらかというとスピーキングを主体にしていくのがおすすめです。書かなくていいぶん練習が楽だし、ライティングの力にも直結しますから。
英検かTOEFLのスピーキング訓練に向かってもいいですし、オンライン英会話に取り組むのもきわめて効果的です。
オンライン英会話については以下の記事も参考にしてみてください。
・オンライン英会話への初挑戦まずはここから【初心者におすすめ4社】