英語の勉強法は世の中に星の数ほどあります。音読、シャドーイング、多読、オンライン英会話、留学…。
どれも効果があると言われますが、「結局、自分にはどれが合うのか?」と迷ってしまう人は少なくありません。
第二言語習得研究(SLA)によると、英語学習は自分のタイプに合った方法を選ぶだけで、伸び方が驚くほど変わります。インプット中心でコツコツ進めるのが得意な人もいれば、会話で覚えるほうが向いている人もいます。同じ方法でも、人によっては遠回りになることもあるのです。
この記事では、代表的な英語学習法をタイプ別に整理し、それぞれの特徴・向いている人・注意点をわかりやすく解説します。さらに、各方法の詳しい解説記事へのリンクも用意しました。
まずは全体像をざっと見て、自分のタイプに合いそうな学習法をチェックしてみてください。きっと「これなら続けられそう」と思える方法が見つかるはずです。
初心者向けの英語学習法
1. 音読 ― 基礎力をつけるには最高の方法
音読は、英語の文章を声に出して読む練習です。
モデル音声を聞きつつ目で文章を追いながら声に出すことで、発音・リズム・文構造の理解が同時に鍛えられます。
特に初心者にとっては、「英語を英語のまま理解する脳の回路」を作るのに非常に効果的。
成功のポイント
- 短くてやさしい文章を使う(教科書・英会話教材・簡単な物語など)
- まず意味を理解してから音読する
- 発音・イントネーションを真似する
- 1つの文章を繰り返し読む(最低10回、理想は100回)
向いている人
- 発音やリズムを自然に身につけたい初心者
- 英文を読むスピードが遅く、つっかえやすい人
メリット
- リスニング力・スピーキング力の土台ができる
- 語順感覚が身につき、英文が頭に入りやすくなる
- 学習と同時に発音練習にもなる
注意点
- 難しすぎる文章は避ける(意味が分からないまま読んでも効果半減)
- ただ読むだけではなく、意味をイメージしながら読むことが大事
関連:その音読のやり方まちがってるかも?【最大の効果を引き出す方法】
2. シャドーイング ― リスニング力を伸ばすには最適
シャドーイングは、音声を聞きながらほぼ同時に声に出して繰り返す練習方法です。音読と違って、文章を目で見てはいけません。
リスニング力とスピーキング力を同時に鍛えられ、特に英語の音のつながりや省略、リズムを体で覚えるのに効果的です。
個人的に、リスニング力を伸ばすにはこれが最強の方法だと思ってます。
成功のポイント
- 初めはスクリプトを見ながら、音声のスピードや発音を真似する
- 慣れてきたらスクリプトを見ずにシャドーイング
- ネイティブのイントネーションや抑揚を忠実に再現する
- 1日5〜10分を毎日続ける
向いている人
- 英語の音が聞き取れず、単語がつながって聞こえる人
- リスニング力とスピーキング力を同時に伸ばしたい人
メリット
- 音声変化(リエゾン・脱落)が自然に身につく
- 聞き取り速度が上がる
- 発音やリズムも向上し、スピーキングの土台になる
注意点
- 難しすぎる素材は挫折しやすい(まずは短く簡単な音声から)
- 間違った発音で繰り返さないよう、必ず正しいモデル音声を使う
関連:そのシャドーイング間違ってるかも?【効果を最大化する正しい方法】
3. 精読 ― まずは簡単な英文を正確に読めるようになること
精読は、英文を一文一文ていねいに読み、文法構造や単語の意味を正確に理解する練習方法です。初心者にとっては、英語の基礎を固める上で欠かせません。
「速く読む」前に「正しく読む」ことが大切です。
成功のポイント
- 短くてやさしい文章を選ぶ(中学レベルの英文でOK)
- わからない単語は必ず調べ、意味を押さえる
- 文法的に構造を分解してみる(主語・動詞・目的語など)
- 日本語訳はしなくてOK(これは時間のムダ)
向いている人
- 英文を読むときに毎回つっかえてしまう人
- 単語は知っているのに文章全体が理解できない人
メリット
- 正確な読解力が身につく
- 文法知識が実際の英文理解に結びつく
- 読解スピードを上げるための土台になる
注意点
- 難しすぎる英文は避ける(意味が取れないと挫折しやすい)
- 精読ばかりだと読むスピードが伸びないため、多読との併用が効果的
4. 多読 ― スラスラ読める易しい英文をインプットするのがコツ
多読は、辞書をほとんど使わずに、大量のやさしい英文を読む練習方法です。目的は「速く・たくさん」読むことよりも、英語のまま意味が自然にわかる感覚を育てることにあります。
初心者のうちは、スラスラ読めるレベルの文章を選ぶことが成功のカギです。
成功のポイント
- 98%以上の単語がわかる文章を選ぶ(辞書を引く回数を最小限に)
- 分からない単語があっても読み飛ばす
- 興味のあるジャンルやストーリーを選んで楽しく読む
- 毎日少しずつでも継続する
向いている人
- 精読で基礎を学びつつ、読書量を増やしたい人
- 英語を日本語に訳さずに理解する感覚を身につけたい人
メリット
- 英文を読むスピードが自然に上がる
- 語彙力・表現力が豊かになる
- 英語に対する抵抗感がなくなる
注意点
- 難しい本を選ぶと挫折しやすい(背伸びは禁物)
- 精読と組み合わせることで効果が高まる
関連:英語多読は本当に効果的か? 成功のためのルール3つを解説
5. 瞬間英作文 ― アウトプットの基礎を鍛える
瞬間英作文は、日本語の短い文を見て、瞬時に英語に言い換える練習方法です。
目的は「考えずに英語が口から出る回路」を作ること。文法知識を会話で使える形に変えるための橋渡しになります。
成功のポイント
- 中学レベルの短い文章から始める(例:私は本を読みます → I read a book.)
- 日本語を見たら即座に英語に変換する(頭の中で考えすぎない)
- 間違えても止まらず、最後まで言い切る
- 慣れたら文章を少しずつ長くしていく
向いている人
- 英文法は知っているのに会話になると口が止まってしまう人
- 英語を話すスピードを上げたい人
メリット
- 会話での反応速度が上がる
- 文法パターンが自然に身につく
- 書くよりも話す練習として即効性が高い
- 英作文の基礎力も鍛えられる
注意点
- 長すぎる文や難しい単語は避ける(詰まる原因になる)
- 正しい文を覚えるまで繰り返すことが重要
関連:瞬間英作文でアウトプット力が爆伸び【おすすめ教材8冊】
中級者~上級者向けの英語学習法
1. 英語日記 ― 3行だけでも毎日続ければ効果あり
英語日記は、毎日の出来事や感じたことを英語で書く学習法です。長文を書く必要はなく、1日3行でも十分。続けることで、自分の言いたいことを英語で表現する力がつき、ライティング力の向上に直結します。
成功のポイント
- 「今日は〜をした」「〜が楽しかった」などシンプルな内容でOK
- 知らない単語や表現が出てきたら、その都度調べてメモする
- 書いたものをオンライン添削サービスやAIでチェックするのもおすすめ
- 書くことが浮かばないときは、テンプレートを活用(例:It was a busy day. I went to…)
向いている人
- 英語で自分の考えをアウトプットする機会が少ない人
- 話す前に、まず書いて表現力を整理したい人
メリット
- 語彙力・表現力が増える
- 英語で考える習慣がつく
- 自分の成長記録になるのでモチベーションが上がる
注意点
- 最初から長文に挑戦すると挫折しやすい(短く、気軽に続けることが大事)
- 間違った表現をそのままにせず、必ずフィードバックを受けると効果倍増
関連:ChatGPTを活用した英語日記で英語力を爆上げする方法
2. 動画(映画やドラマ) ― 英語字幕で見る
映画やドラマを英語字幕付きで観ることは、生きた英語に触れられる学習法です。
特に中級者以上にとっては、実際の会話スピードや自然な表現をインプットする絶好の機会になります。
ただし、初心者には難易度が高いため、まずはある程度の基礎を固めてから挑戦するのがおすすめです。
成功のポイント
- 英語音声+英語字幕で観る(日本語字幕は極力使わない)
- 短いシーンを繰り返し観て、表現を聞き取る
- 気になるセリフをメモして、真似して音読・シャドーイングする
- 最初は子供向けアニメやシットコムなど、比較的聞き取りやすい作品から始める
向いている人
- 教科書的な英語に飽きてきた人
- ネイティブの日常会話に慣れたい人
- 好きな作品を楽しみながら学習したい人
メリット
- 自然な表現・スラングが学べる
- リスニングのスピードが飛躍的に上がる
- モチベーションを維持しやすい
注意点
- 映画のセリフは省略や早口が多いため、完璧に理解しようとしない
- 学習素材として使うときは「1本丸ごと」より「短いシーンの繰り返し」の方が効果的
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3. ゲーム ― 英語字幕と英語音声でプレイすればインプットを稼げる
英語のゲームをプレイすることは、楽しみながら英語に触れる最高の方法の一つ。特にRPGやアドベンチャーゲームはストーリーや会話が多く、英語のインプット量を自然に増やせます。
字幕と音声を英語に設定すれば、まるでインタラクティブな英語教材のように使えます。
成功のポイント
- 英語音声+英語字幕に設定してプレイする
- ストーリーのセリフを聞き取りながら字幕で確認する
- わからない単語があっても、ゲームの流れから推測して進める
- オンライン対戦やチャットがあるゲームでは、アウトプットの練習もできる
向いている人
- 勉強というより「遊びながら学びたい」タイプの人
- 長時間英語に触れる習慣を作りたい人
- 海外ゲーマーとの交流を楽しみたい人
メリット
- 長時間でも飽きずに英語をインプットできる
- 実際の会話に近い表現やゲーム特有のフレーズが学べる
- リスニング・リーディングに加え、場合によってはライティング力も鍛えられる
注意点
- ゲームに夢中になりすぎて「ただ遊んで終わり」にならないよう注意
- 難解なファンタジー用語やスラングが多い場合は無理に理解しなくてもOK
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4. オンライン英会話 ― 実践の場でアウトプットを鍛える
オンライン英会話は、世界中の講師と1対1で会話練習ができるサービスです。
毎日数百円で英語を話す機会を得られるため、コストパフォーマンスの高い実践練習として人気。
独学でインプットを積んだ学習者が、実際に「話す力」を伸ばすステージに最適です。
成功のポイント
- まずは毎日15分など短時間でもよいので継続する
- フリートークだけでなく、教材やテーマを決めて取り組む
- 話せなかった表現や単語をレッスン後にメモし、復習する
- 同じ講師を繰り返し選ぶと安心して学習できる
向いている人
- 独学ではアウトプットの機会が足りない人
- 海外留学や出張の前に実践経験を積みたい人
- 継続的に「英語を話す習慣」を作りたい人
メリット
- 毎日英語を話すことでスピーキング力が飛躍的に伸びる
- 世界各国の英語アクセントに触れられる
- 予約制なので強制的に学習習慣ができる
注意点
- レッスンを受けっぱなしにすると効果が薄い(必ず復習が必要)
- 初心者にはハードルが高いため、ある程度「話せる文型」を身につけてから始めるのが理想
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5. 留学・ワーホリ ― 英語漬けの環境で一気に伸ばす
留学やワーキングホリデーは、英語を生活の中心に置く最強の環境づくりです。
教室で学ぶ英語とは違い、買い物・アルバイト・友人との会話など、あらゆる場面で英語を使うことになります。
短期間でも「生きた英語」に触れる密度は圧倒的で、上達のスピードは国内学習では得られない体験になるでしょう。
成功のポイント
- 渡航前に基礎的な文法・会話フレーズを習得しておく
- 日本人だけで固まらず、現地の人や他国の留学生と積極的に交流する
- 失敗を恐れず、とにかく話すことを優先する
- 帰国後も学習を継続して「英語力の維持・強化」を図る
向いている人
- 短期間で一気に英語力を伸ばしたい人
- 異文化体験を通じて価値観を広げたい人
- 勉強よりも「実際の生活の中で英語を身につけたい」人
メリット
- 強制的に英語を使う環境に置かれるため、伸びざるを得ない
- 国際的な友人関係やネットワークを作れる
- 英語以外にも文化理解・コミュニケーション力が育つ
注意点
- 渡航前の準備不足だと「ただ日本語環境で過ごしてしまう」リスクがある
- コストが高いため、時間や予算の計画が必須
- 「行くだけ」で伸びるわけではなく、主体的な行動が必要
6. 翻訳 ― 日本語と英語の架け橋で表現力を鍛える
翻訳学習は、日本語を英語に、または英語を日本語に訳す練習を通して、言語の構造や表現の違いを深く理解する方法です。
特に中級〜上級者に効果的で、表面的な理解から一歩進んで、より正確で自然な英語表現を身につけられます。
成功のポイント
- 短い文章(ニュース記事・エッセイ・広告文など)から始める
- 「直訳」ではなく「意味が自然に伝わる訳」を意識する
- 自分で訳した後に、プロや参考訳と比較して表現の違いを学ぶ
- 翻訳アプリやAIを活用し、修正点を分析するのも有効
向いている人
- 英文を深く理解し、ニュアンスまで正確に掴みたい人
- 自分の英作文をより自然な表現に高めたい人
- 英語を使った仕事(翻訳・通訳・国際業務)を目指す人
メリット
- 英語と日本語の発想の違いがわかる
- 語彙力・文法力がより正確に強化される
- 英作文やスピーキングで応用できる
注意点
- 初心者には難易度が高く、学習効率が悪いことが多い
- 「完璧に訳す」ことにこだわりすぎると学習が進まなくなる
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まとめ:自分に合った学習法を見つけて継続しよう
英語学習法は一つではなく、インプット重視かアウトプット重視か、独学か対人かによって向き不向きが大きく変わります。
今回紹介した12種類の方法も、すべてが万人に合うわけではありません。
ポイントは、「これなら続けられる」と思える方法から始めることです。
最初から完璧を目指すよりも、1〜2種類を生活の中に取り入れ、少しずつ組み合わせていく方が効果的です。
また、途中で「合わない」と感じたら迷わず別の方法に切り替えてOK。
英語学習はマラソンのような長期戦なので、やる気を保てる仕組み作りが何より大事です。
最強の英語教材まとめ記事はこちら↓
