否定の省略文に要注意【NOTだけを残し直前の文章丸ごと省略】

否定の省略文と呼ばれる構文があります。

日本人からするとかなり難解。そのわりにはネイティブの英語に頻出しまくる。頻出しまくるわりには文法書とかでめったに解説されない。

…というやっかいなやつ。

僕が知っているなかで、これをメイン級で扱っている唯一の本が越前敏弥の『日本人なら必ず誤訳する英文』。

以下、この著作から例文を借りて解説したいと思います。

否定の省略文とは何か?

否定の省略文とはなんでしょうか?

次の文章を見てください。

I am willing to sing the song, but not now.

(越前敏弥『日本人なら必ず誤訳する英文』より引用)

文章の後半に出てくるnotに注目。こういう英文けっこう目にしたことあるはず。

多くの人はこれをフィーリングでなんとなく訳すと思います。「私はその曲を歌うつもりがあるけど、今ではないな」というふうに。

notがnowにかかっていると解釈しているわけですよね。

そしてなんとなく訳したこの文は、一応正解です。

しかし、英文解釈としてはこれは間違いなんですね。実はこのnotが否定しているのはnowではなくwillingなんです。

 

そしてもう少し込み入った英文になると、フィーリングで訳そうにもなんとも収まりが悪くなってきます。

次の英文を見てください。

She didn’t have an umbrella. Not when it was raining.

(前掲書より引用)

ほとんどの人はこのnotをwhenと結びつけると思うんですよね。

「彼女は傘を持っていなかった。雨が降っていた時ではなかった…???あれ、なんか収まりが悪いな」みたいな感じになるかと思います。

実はこのnotはhaveにかかります。正訳は「彼女は傘を持っていなかった。その時は雨が降っていたのに」です。

 

否定の省略文では前文がnot以外まるまる省略されている

こうした英文の正体は何かというと、実はnot以外が省略された文章なんです。not以外が何かというと、直前に出てきて文章ぜんぶです。

直前の文章を丸ごと繰り返したいのですが、それだと冗長なので、notだけを残して他のぜんぶが省略される。

それが「否定の省略文」の正体です。

 

最初の例文は実は次のような構造をしていたんですね。実際にはカッコの中身が省略されています。

I am willing to sing the song, but (I am) not (willing to sing the song) now.

「僕はその曲を歌うつもりがあるよ。でも今はその曲を歌うつもりはないんだ」

 

また2番目の英文は省略をしないで書くと次のようになります。

She didn’t have an umbrella. (She did) Not (have an umbrella) when it was raining.

「彼女は傘を持っていなかった。雨が降っていた時に、彼女は傘を持っていなかった」

 

最初の文章を丸ごと繰り返しているのですが、それをいちいち書いたりしゃべったりするのは冗長なので、notだけを残して、他をぜんぶ省略しているんです。

 

めったに解説されない否定の省略文。

この形式の否定が出てきたら、省略されている直前の文章を頭の中で丸ごとそのまま繰り返しましょう。そうすると上手く読み解けます。

洋書とかを普段から読む人ならご存知でしょうが、この構文しょっちゅう出てきます。しょっちゅう出てくる。

したがって否定の省略文をしっかり理解しておくと、その後の多読や英語学習がいっそうスムーズになります。

 

越前敏弥『日本人なら必ず誤訳する英文』はこの否定の省略文をはじめとして手強い構文がどしどし紹介されるので、文法の基礎を一通りマスターした人は挑戦してみることをおすすめします。

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