勉強でいちばん重要なのは復習だといわれます。
一度インプットしただけで暗記や解法体得が完璧なものになることはまずないですからね。効果的な復習を行うことで、頭のなかにしまった情報の完成度を高めていくことが必要になってきます。
英語学習でもそれは同じ。というか語学の学習ほどに復習の質がものをいうジャンルはなかなかないかもしれません(とくに単語と文法)。
では復習で成果を出すためにはどうすればいいのでしょうか。
どのぐらいのペースで復習するのが理想なのか?復習するときになにかコツのようなものはあるのか?
ここでは脳科学者の池谷裕二氏の著作もヒントにしつつ、理想的な復習の方法を解説していこうと思います。
理想的な復習のペースはこれ
まずは復習のペースから解説します。
復習をするときは、初めての学習から1ヶ月以内に復習するように心がけてください。
脳科学の研究によると、潜在的な記憶の保存期限は1ヶ月とのこと。この期間をすぎると記憶は失われてしまいます。逆にいうと、どんなにきれいサッパリ忘れてしまったように見える記憶でも、実は1ヶ月間は潜在的な記憶として保存されているんですね。
この最初の1ヶ月のあいだに復習を行うのが効果的な勉強のコツです。この期間をすぎてから復習してもそれは復習にならないので要注意。新しく情報をインプットしたのと同じことになってしまうんですね。
遅くとも1ヶ月が経つまでには1回目の復習を完了させる必要があります。理想をいえば初めて学習した日の翌日がベストです。
1回の復習で記憶が完全に定着するかというと、残念ながらそうはいかないです。2回目、3回目と復習の重ねて記憶を確かなものにしていくことが学習の基本ルートになります。
この2回目以降の復習をいつやったら効果的なのかについても、脳科学的に研究結果が出ています。
次のペースを意識するのがよいでしょう。
・1回目の復習から1週間後に2回目
・2回目の復習から2週間後に3回目
・3回目の復習から1ヶ月後に4回目
これが理想です。
といっても厳密にこれを守る必要はないです(挫折への道は完璧主義で舗装されている)。翌日に復習して、そこからちょっと時間をあけて2回目、さらにそこから1ヶ月以内に3回目、ぐらいの感覚を目安にしておけば十分かと思います。
注意したいのは、マックスがこれということ。2ヶ月間に4回の復習、これ以上はエネルギーの浪費なので復習に時間を割かなくていいです。
まだなんかやりたいという場合は、復習の上書きではなく新しいインプットに向かったほうがよいでしょう。
教材は一つに絞って復習効果アップ
「テキストや問題集をあれこれ食い散らかすのはよくない。一冊にしぼって何周もしよう」と、よくいわれますよね。
実際そのとおりなのですが、実はこれも復習効果に関連しているんです。
復習は同じ対象じゃないと効果が発動しないんです。
覚える内容が変わると記憶に定着しづらくなります。それどころか「記憶の干渉」が起こり、むしろ忘れやすくなる危険性もあります。
よっぽどひどい、あるいは自分に合わなくて嫌でしょうがない参考書でなければ、最初に選んだものを何周もするのが効果的です。
インプットよりアウトプット重視の復習を
研究によると、インプット学習とアウトプット学習では、情報を覚えるスピードは同じです。
しかし記憶の保存時間が違ってきます。
アウトプットのほうが長く記憶に残るんですね。だから復習もアウトプット重視で行うのが正解です。
ではアウトプットは具体的に何をすればいいのか?
声を出したり紙に書き出したりするのはもちろん有効なのですが(とくに声を出すのは必須)、さらに効果があるのは自分に小テストを課すことです。
テストといってもそんな大げさなものではなく、赤シートとかで正解を隠して、その正解を答えるだけで効果は発動します。
たとえば英単語を復習するときに、意味を目視して確認するだけではなく、赤シートとかで隠して一つの単語ごとに自分に小テストを課すわけです。これだけでアウトプット効果が発動し、記憶への定着がよくなります。
あーこんな意味だったなーと正解を目視して確認するだけではダメということですね。一つ一つの単語で小テストを行うことで暗記はうまくいきます。めんどくさいと思うかもしれませんが、慣れてくれば一瞬で終わります。
間違えたところにはチェックマークをつけ、3周目か4周目の復習ではチェックマークをつけた部分だけを復習していきます。これが記憶を定着させるコツです。
まとめ
最後に内容をざっくりまとめておきます。
ついでに言っておくと、英語にかぎらず復習は朝や昼よりも夜にやったほうが効果が出ます。とくに就寝の1~2時間前がチャンス。
関連:【英語の勉強】一日の理想的なスケジュール【効果的な時間帯はこれ】
なお今回の参考図書はこちら。池谷裕二『受験脳の作り方』です。英語学習について語った本ではありませんが、英語にも応用が効きます。