成功者に共通するコツはこれ『より良い外国語学習法を求めて』【書評】

語学の達人たちには、何か共通する点があるのでしょうか?何か同じような学習法を採用していたりするのでしょうか?

外国語の習得に成功した学習者たちを比較し、成功のための条件をあぶり出す。その研究成果が竹内理『より良い外国語学習法を求めて』(松柏社)です。

知る人ぞ知る良書。僕は廣森友人『英語学習のメカニズム』で紹介されているのを読んで知りました。

非常に学術的な書き方がされているので、最初は面くらうかも。先行研究や細かいデータが明示されまくる構成。

とはいえ内容は面白く、外国語学習に関心のあるひとなら楽しく読める本だと思います。

本書の大まかな構成は以下のとおり。

・第1章…ロンブ・カトー(『わたしの外国語学習法』の著者)と関口存男(ドイツ語の天才)のエピソードで導入。

・第2章…いわゆる臨界期仮説の検証。12歳をすぎたら外国語は身につかないのか?本書は「早いほうが有利だけど臨界期をすぎてからでも成長できる」という立場。

・第3章…学習方略について。大きな効果を見込める学習方法を学習方略と呼びます。他人の学習方略はコピーすることができる。ただしモデルから天才を排除する点がポイント。常人に真似できない例はサンプルに含みません。

・第4章…膨大な先行研究のチェック。このへんはわれわれ一般読者は読み飛ばしてもいいかと思います。

・第5章…大学生から外国語学習の上位層と下位層を集め、勉強方法や意識などを比較。かなり面白いです。

・第6章…達人たちがインタビューで語ったことを検討していきます。ここも面白い。

・第7章…達人たちが本に書き残した方法について検討していきます。ここも面白い。

・第8章…前章までで集めたデータを、言語学や教育学の理論と照らし合わせ、裏付けていきます。

・第9章…達人たちを観察して集めたデータから一般論を引き出します(後述)。

・第10章…前章で得られた結論を、統計的データと照らし合わせます。ここらへんもわれわれ一般読者は流し読みでいいかも。

 

達人たちに共通する外国語学習法はコレ

語学学習の成功者たちに共通する学習法はなんなのか?本書では学習分野ごとに以下のような要素を取り出しています。

まずは全ジャンルに共通する一般論から。

・外国語をインプットする機会をなるべく増やす
・外国語をアウトプットする機会をなるべく増やす
・一段回高いレベルを要求される状況に自分を置く(学習中期以降)
・定期的にコツコツ学習する
・集中的に学習する(学習中期)

どれもよく言われることですが、最後の「集中的に学習する」というのは目を引く気がします。

これは上位の大学生ではあまり見られない要素とのこと。達人レベルの人たちに特徴的な要素です。「長期休暇を徹底的に英語漬けで過ごす」みたいな期間をどこかで設けていることが、達人には多いらしい。

 

次はリスニングについて。

・深く細かく聞く(学習初期~中期)
・大まかに大量に聞く(学習中期以降)

やっぱり最初は精聴、実力がついてから多聴ですね。最初から英語の聞き流しみたいなのはしないほうがいいです。

関連:リスニングの正しい勉強法はコレ【発音を身につけて易しめの英文を大量インプット】

 

次はリーディングについて。

・細部までこだわって分析的に読む(学習初期~中期)
・大まかに大量に読む(学習中期以降)
・音読はモデル音声を使う

これもリスニングと同じパターンで、最初は精読、慣れてきたら多読です。

さらに重要なのは音読にモデル音声を使っている点。語学学習の成功者は「音」にものすごくこだわる傾向があります。

関連:科学的に正しい音読の方法はこれ【音声利用が不可欠】

 

次はスピーキングについて。

・基本文例を正確かつ大量に暗記する(学習初期~中期)
・暗記した文例を部分的にアレンジして実際に使ってみる(学習初期~中期)
・実践では正確さにはあまりこだわらずどんどんアウトプットする(学習初期~中期)
・外国語で独り言をいう(学習中期)
・正確さにこだわる(学習中期~後期)

文例を暗記するのが王道らしい。この際は正確さにもこだわります。逆に実践になったら細かいミスは気にせず積極的にしゃべるとのこと。

 

次はボキャビル(語彙増強)について。

・まず基本語彙は一気に覚えてしまう(学習初期)
・文脈のなかで暗記する(学習初期~中期)
・自分の専門分野の語彙を集中的に増やしていく

千野栄一は『外国語上達法』(岩波新書)のなかで「最初はともかく1000~1500語をやみくもに覚えろ」と言っていますが、他の達人にもこの意識は共通している模様。

ハイレベルな単語に関してはやみくもに漫然と暗記していくのではなく、自分がとくに必要とする分野の単語を集中して覚えていくのがポイントです。

関連:せっかく覚えた英単語を忘れて心が折れた?【正しい勉強法はこれ】

 

最後にライティングについて。

・読む量を増やす(学習中期以降)
・読んだ文章から表現を借りて書く(学習中期以降)
・定期的に書いて、それを添削してもらう(学習中期以降)

英借文が王道とのこと。お手本となるネイティブの文章から表現を借りてきて、それをアレンジして書くやつですね。

そして英借文のためには英文のストックを増やす必要があり、英文のストックを増やすためには読む量を増やす必要がある。どうもライティングとリーディングが有機的に結びついているようです。

関連:英作文のおすすめ参考書はこの4冊【短文から長文エッセイまで】

 

以上、竹内理『より良い外国語学習法を求めて』から、学習法に関するパートをざっくりと見てみました。

なお英語学習法のおすすめ本については以下の記事も参考にしてみてください。

正しい英語勉強法を知るためにはこれを読もう【おすすめの名著9冊】
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