多読と精読ってどっちが重要なんだろう?多読をすれば精読のトレーニングしなくていいのかな?それとも精読をみっちりやり込めば多読なんて必要ない?
このような疑問を解決したいと思います。
多読と精読ではどっちのほうが重要なのか。結論から言ってしまうと、多読が重要です。
外国語の習得には大量のインプットが欠かせないんですよね。第二言語習得研究(SLA)でこの結論が出てしまっています。
そして大量インプットを達成するもっとも効率のいい方法は、外国語で書かれた本を多読することなのです。
ただし注意しなくてはいけないのは、多読は理解できる文章を読まないと効果がないということ。
中学や高校の英文法、英単語、英文読解に穴がある状態で多読しようとしても、上手くいかないと思います。
だから最初のうちは精読のトレーニングをして、英文の意味をしっかり理解できるようになってから多読に進む。これが鉄則です。
以下、もう少しくわしく解説していきます。
流暢さを達成するには多読による大量インプットが大事
英語の多読と精読、どちらを意識するべきなのでしょうか?
基本的には多読が重要です。中学と高校の英語が身についている学習者ならば、多読と精読を8対2か9対1ぐらいのバランスでこなしていくのがおすすめです。
なぜ多読が重要なのかというと、英語の習得に一番大事なのが大量インプットだからです。ルールをちょっと覚えたぐらいじゃ英語は使い物になりません。大量インプットによって、その知識を実践で使えるレベルにまで引き上げる必要があるんです。
よく指摘されることですが、日本人にもっとも足りないのがこの大量インプットなんですよね。
日本人は学校で英文法とか英文読解とかはある程度トレーニングしてきてますよね。だからそこそこの基礎が身についてる人は多いんです。
しかしインプットの分量が足りていないせいで、その知識が実践で使えるレベルまで到達していないわけです。
中学からずっと英語の授業を受けてきたから、インプット量はもう十分なのかと思ってたよ…
いわば自転車にようやく乗れるようになった段階みたいな感じですね。まだフラフラして心もとない。ここからスイスイ感を達成するには、理屈じゃなくて量が必要です。
英語学習でも同じです。第二言語習得研究が明らかにしたように、流暢さの達成には理解可能な情報の大量インプットが効きます。だからインプット量(多読)を重視したほうがいいんですね。
ただし多読にも正しい方法と誤った方法があるので注意が必要です。
といいますと?
実は理解できる文章を読まないと多読は効果が出ないんですよね。
文章中に登場する単語の9割以上は知っていて、構文もすらすら理解できる。そういう英文だけを多読してください。
多読から効果を引き出すための鉄則については以下の記事を参考にしてみてください。
じゃあ多読だけやっていればいいんだね。精読は必要ないのか…
実はそうでもないのが難しいところなんです。
多読が大切というのは、ある程度の基礎力が身についた人にとっての話なんです。初学者は精読が大事です。
次はそれを解説していきます。
英語初心者は精読を意識しよう
多読と精読では多読のほうが重要なのですが、精読が必要ないわけではありません。
とくに学習の初期の段階では、英文を正確に読むトレーニングは欠かせないのです。
多読も速読も、精読のベースの上にあるからですね。それどころかリスニングも英作文も英会話も、すべてこの精読力の土台の上に成り立つと言ってもいいほどです。
したがって最初から質より量の姿勢でやってると英語力は伸びなくなります。ある程度の精読の力がつくまでは、多読よりも精読を意識しましょう。
ある程度ってどの程度なの?
中学と高校の英語がほとんど理解できるなら、多読に重心を移し始めてもいいと思います。だから中学生や高校生は多読を意識しなくてもいいです。
学校の授業や受験勉強はいい精読トレーニングになります。中学生や高校生は学校の英語学習だけに集中して、精読力を身に着けておけばいいでしょう。
それに受験勉強をしながら多読もするというのは単純にかなりきついと思うので、無理に多読を組み込む必要はないと思います。長期休暇中にやさしめの洋書を一冊読んでみるとかならオススメですけどね。
受験英語をきっちり勉強した学生は、大学生もしくは社会人になったとき多読の基礎ができあがっていると思います。
したがって受験勉強が終わったら多読を意識するのがおすすめです。大学生もしくは社会人になったら、圧倒的に多読を重視しましょう。多読と精読を8対2とか9対1ぐらいの感覚で捉えればオーケー。インプットの量を増やすことを意識してください。
中級レベルになったのにいつまでも精読重視で勉強しているのが問題なんですよね。中学と高校の英語をクリアする実力があるのなら、インプット重視の多読にシフトしましょう。
とはいえ英語が苦手という大学生や社会人は、中学高校の復習から始めるのが正解です。
精読で英文を完璧に理解できるようになる(中学高校レベルの英文法や読解をマスター)→興味のある文章をどんどん多読してインプットを増やす
この順番が大事です。
精読で読解力をメンテナンスしていこう
ある程度のレベルに達したらもう多読オンリーでいいってこと?
多読をメインにしてからも、精読を完全にやめてしまうのはオススメしません。
精読が絶対に必要とまでは言いませんが、多読だけだと読みが雑になっていく危険性がなくはないからです。
知らずしらずのうちに読みが雑になっていて、TOEICとかを受けたらリーディングの点数が落ちたなんてことは割とよくあります。
したがって精読で読解力をメンテナンスしたほうがいいんですね。
でも多読に加えて精読までやるなんて大変すぎない?
そこは大丈夫です。精読はほんのちょっとだけでいいんですね。5分とか10分のスキマ時間に、短めの文章を渾身の集中力で正確に読む。これで十分です。
精読トレーニングにはとくに大学受験生用のハイレベル参考書が効果的です。1冊だけでいいので、徹底的に仕上げると読解力がものすごく伸びますよ。
精読の勉強の仕方やおすすめのテキストは以下の記事を参考にしてみてください。
とはいえ、この段階に達したらあくまでもメインは多読です。多読と精読の割合は9対1から8対2を意識するとよいでしょう。