受験生用の定番参考書『英語長文ハイパートレーニング』シリーズ。基礎レベルの長文読解を学習したいひとには、これの超基礎編がおすすめです。
なぜか?おもな理由は以下の2つ。
①解説が視覚的で圧倒的にわかりやすい
②音声がついている
以下、この2つの長所を紹介するとともに、本書の効果的な使い方を解説したいと思います。
①解説が視覚的で圧倒的にわかりやすい
この参考書の最大の長所は解説のわかりやすさにあります。
問題文は約50ページ。それに対して解説は約150ページ。これだけの分量をついやして、1文1文を丁寧に解説してくれます。
しかも語の修飾関係や文章の構造を図解してくれるタイプ。ここが素晴らしいんです。
文章だけで説明するタイプの参考書も多いですが、それだと理解が大変なんですよね。英語力だけでなく国語力を要求されますし。
たとえば初心者用の参考書では「ポレポレ」シリーズも評価が高いです。でもポレポレは解説が難しすぎるんです。あれを使える学生は国語力が高いと思う。
初心者のうちは本書のようにビジュアル的に構文読解を導いてくれる参考書のほうがおすすめです。
②音声がついている
第二言語習得研究で明らかにされたのはインプットの重要性です。
インプットというと「読むこと」を思い浮かべがちですが、「聞くこと」も立派なインプットになります。
しかしそれには条件があって、理解できる英文を大量に聞かないと力は伸びません。
そこで本書が使えます。長文読解の学習ですでに消化した英文を聞くことで、リスニングを中心とした英語力全体が伸びていきます。
もちろん音読とシャドーイングにも使えます。なおそのやり方については後述します。
『英語長文ハイパートレーニング』の使い方
まずは問題文を読んでいきます。負担が大きすぎると感じたら問題は解かなくてもオーケー。まずは長文を理解することに専念して、問題は後回しでいいです。
次に解説を読んでいきます。構文の構造や語の修飾関係を完璧に理解します。難しいところにはマーキング。ページ下に重要語句が掲載されているので、知らない単語があればそれもマーキングします。

ここで終わりにしちゃ駄目です。
解説をすべて理解したら、もう一度だけ問題文を自力で読んでいきます。ここで解説を読んで理解した内容が本当に身につきます。重要構文や重要単語にはマーキングしながら読んでもいいでしょう。
さらに続きがあります。
今度は付属CDの出番です。これを使ってシャドーイングをしていきます。
音読よりもシャドーイングがおすすめ。実は音読にも音声利用が不可欠なのです。そしてそれを考えた場合、シャドーイングのほうがめんどくさくなくて楽。
まず1回だけ、音声を聞きながら問題文を目で追っていきましょう。次に音声を聞きながら問題文を音読します。ここまではウォーミングアップ。
そして3回目に、テキストを見ないで音声だけを聞いてその音声を同時に口に出して繰り返します。これを2回から3回ぐらいやってみてください。これがシャドーイングです。
関連:シャドーイングから効果を引き出す方法【簡単な教材を使いましょう】
一応これで終わりですが、さらに本書を活かすことは可能です。
読解とシャドーイングの終わった音声を、聞き流し用のリスニング教材として活用しましょう。リスニングの多聴はすでに理解している英文を聞くともっとも効果が出ます。
暇な時間に繰り返しリスニングしてみてください。音声に集中する必要はなく、聞き流しでオーケーです。
繰り返しますが、英文読解とシャドーイングですでに理解しきっている英文だから聞き流しで効果が発生します。普通のリスニング訓練をこの方法で行うと効果が出ないので注意。
関連:英語の聞き流しから効果を引き出す方法【多聴こそパワー】
困難は分割しよう
英語長文の参考書は上記のような取り組み方をするのが王道です。
ただし一気にやらなくてもかまいません。体力のある人なら上記の手順を1回の学習でぶっ通しで完了できてしまうかもしれませんが、無理する必要はなし。学習をいくつかのパートに分割して少しずつ消化していけば心が折れにくくなります。
たとえば僕なら、長文読解と解説の熟読だけで1日の学習を終えて、音声を使った学習は次の日に回しますね。1セクションを2日で完了していくイメージです。個人的にはこのペースがおすすめ。
ここで解説したテキストへの取り組み方はほかの参考書にも応用可能。たとえばTOEICとか英検とかの試験勉強にも役立つ方法です。
こういう勉強法を身につけるとその後ずっと使えるので、初期の段階でコツをつかんでおくことをおすすめします。