洋書ってどうやったら最後まで読み通せるの?ぜったい途中で力尽きるんだけど…
この記事では以上のような悩みに答えようと思います。
僕がいままでに読んだ洋書はのべ250冊ほど。2009年から多読を始めて、毎年20冊ぐらいのペースで読んできました。
最初は大変でしたよ。ハリーポッターでも苦労しました。途中でめんどくさくなって、中盤からは段落の1行目だけを読み、それで読了したことにしていたほどです(今思うとこのテクニックは完全に間違いとはいえない)。
しかし今ではけっこうコツをつかんだと思います。
この記事では洋書を読破するのに使えるテクニックを解説します。
関連:洋書の多読ならこれを読もう【ジャンル別おすすめの名作13冊】
全体を細かく分割し、何日で読み終わるか見当をつけておく
「困難は分割せよ」という言葉があります。これは洋書を読むときにも当てはまります。
たとえば300ページの洋書があったとして、やみくもに最初からぐわーっと読み進めるのは無謀なんですね。
まず300ページを細分化して、どのくらいのペースで読めばどのくらいの期間で読み終わるのかを明確にイメージしておくことが重要です。そして1日に読む分量を決定します。
たとえば1日10ページ読むと決める。300ページの本でしたら1ヶ月で読み終わりますよね。ゴールが見えるようになるんです。こうやってゴールが見えていると、すごく楽になります。
ゴールから逆算する思考が大事。
50ページくらい読み終わったら、残りのページをパラパラとめくってみて、「あと250ページだから25日でこの本も読破できるぞ」と確認してみたりします。なんだかみっともない感じがするかもしれませんが、こうやって進めると心が折れにくいんですね。
逆に具体的なペースを計算せずに勢いだけでぐわーっと読み進めると、かなりの確率で途中でポキっといきますよ。
ちなみに僕の場合は1冊あたり毎日6~10ページくらい、それを2~3冊並行して読みます。
どのくらいのペースがおすすめかというと、年間50万後に到達するぐらいです。語彙研究の大家ポール・ネイションは「多読は年間50万語を超えると大きな成果が期待できる」と述べています。
さらに最終的には、年間100万語を目標にすることをおすすめします。これは青谷正恭が提示するゴールで、僕はこれを目安にしています。
関連:英語の多読と多聴ってどれくらいの量が必要?【年間100万語】
パラグラフの1行目をしっかり読む
英語の文章は、パラグラフ・ライティングという方法に従って書かれています。パラグラフ・ライティングとは文章を論理的に組み立てるためのテクニックのこと。
書き手は意味の構造を意識したながらパラグラフ(段落)を組み立てているんです。なんとなく気分で段落を変えてるわけじゃないんですね。
そして段落の1行目はトピックセンテンスと呼ばれ、そのパラグラフの内容を予告する重要な文章がきます。英作文でこういうことを意識して書けと教わった人もいるはず。
なんか英作文の参考書に書いてあった気がする…
実はリーディングでもこの技術が応用できます。
トピックセンテンスは段落の内容を要約する文章になっていますから、それをつまみ食いしていけば、その著者の主張や本の構造は大まかにつかめてしまうのです。
これは小説を読むときにもわりと使えます。あまり本筋に関係なさそうな話だなとか、ストーリーを理解するうえでは必要ない風景描写だなとか、そういうパラグラフは飛ばしてしまうのも手ですね。
書き込みをしながら読む
3つ目のアドバイスは、書き込みをしながら読むというものです。内容的に重要なところにマークするというより、理解を容易にするためにマークしていきます。
具体的には登場人物や重要語に印をつけながら読んでいきます。なんか重要そうな人物や専門用語が出てきたらとりあえず丸で囲みます。不思議なことに、これだけで混乱防止の効果があります。
また必要なら文と文のあいだにスラッシュを入れていく方法もおすすめ。頭がパンクしそうになるのを回避できます。僕は難解な本(哲学系とか自然科学系とか)を読むときによくこの方法を使いました。
あとは主語と動詞にマークをつけていくのもおすすめですね。
このように文章にマークをしていくだけでも頭がシャキッとなり、文章が理解しやすくなります。
こんな補助的な手段に頼りきっていいのかという不安もあるかもしれませんが、多読に慣れてくれば書き込みをしなくても読めるようになるのでご安心を。
辞書は引かない
洋書を読むときに、辞書を引いて知らない単語を調べながら読むべきなのでしょうか?
結論からいうと、読みながら辞書を引くことは避けましょう。いちいち単語を辞書で調べていると意外に時間がかかり、当然ながら読書のスピードが劇的に落ちるんですよね。それが負担になってしまい、洋書を通読するハードルが上がってしまうのです。
また、話の流れを見失いやすくなるというデメリットも大きいです。いちいち読書が中断されますから、「あれっ、どこまで読んだんだっけ」とか「なんの話してたんだっけ?」みたいな状態にはまり込みやすいのです。
そもそも英語多読は、辞書を引かなくても理解できる本を使わないと効果が出にくいという点も重要です。
関連:英語の多読から効果を引き出す方法【3つのコツと注意点】
とはいえ、わからない英単語がたくさん出てくる英文を読まなくてはいけないケースも出てきますよね。そういうときはどうするのか?
その場合でも、洋書を読みながら辞書を引くことはしません。できるだけ文脈や流れから単語の意味を推測するようにします。細部にはこだわらず、全体像をつかむように意識してください。後ろのほうを読んだら前のほうもわかった、みたいなケースはよくあります。
完璧主義は捨てましょう。
ただし、わからない単語にはチェックマークを入れておきましょう。
そして本を読み終わった後(あるいはその日の読書が終わった後)に、その単語の意味を辞書で調べるのです。こうすれば読書の流れが途切れません。
また、知らなくていい単語まで調べて時間を浪費するリスクも減らせますね。重要な単語は繰り返しなんども出てきますから、読書後であればどの単語を調べればいいかわかるからです。
日本語訳を先に読んだり映画版を先に見たりしておく
普通なら読み通すことのできない英文でも、すでに内容を知っていると、案外スラスラ読めたりします。
背景知識や文脈を熟知している状態ですから、部分的にわからないところがあっても、頭のなかで情報を補うのが容易になるんですよね。
したがって、読みたい洋書の日本語訳を先にざっと読んでおくというのも効果あります。あるいは映画版を見て登場人物やストーリーを把握しておくのもいいですね。
すでに好きな本や映画がある場合は、それの洋書がないかどうかを探してみるのもおすすめ。日本の小説や漫画もけっこう外国語訳されてますよ。
まずはHolesから読んでみるのがおすすめ
最初に読むペーパーバックは、Holesという有名作品がおすすめです。
なぜかというと、これが難易度的にちょうどよくて、洋書を多読できるかどうかの試金石になるんですね。これは僕が考えたわけじゃなくて、『英語耳』という有名な本にも書いてあることです。
実際、僕も最初期にHolesを読んで多読をスタートさせました。大学生のときだったんですが、けっこう普通にいけましたね。
その直後にハリーポッターに挑戦したんですけど、こっちは苦行でした。だから最初からハリポタとかに取り組まないほうがいいですよ。とくに小説は思った以上に難しいと考えておいていいと思います。
まずはHolesを読んでみて、これがなんとか通読できたならそのまま多読へ進むといいでしょう。
まだ厳しいと感じたら、Leveled ReadersやGraded Readersでもう少し経験値をためるのがおすすめです。Leveled ReadersとGraded Readersについては以下の記事を参考にしてみてください。
関連:中学生でも読める洋書はこれ【初心者におすすめのシリーズ】
まとめ
以上、洋書を読み通すのに役立つテクニックを紹介しました。最後にざっくりまとめておきます。
あとはひたすら量をこなして慣れていくだけです。本文中にも書きましたが、まずは年間50万語のペースを目標にするとよいでしょう。