「英語は前から読まなくてはいけない」とよく言われますよね。
英文和訳みたいなノリで後ろから訳して読むようじゃだめで、前から後ろへと順番どおりに理解するのが大切だと。
たとえばI want to read the book that he wrote last year.みたいな文章があったとします。
これを「わたしは彼が昨年書いた本を読みたい」と読解したんじゃダメだということですね。それだといったん文章の後方までいって、そこからまた前方まで戻って理解していることになります。これだと時間がかかってしまいます。
実際には「私は読みたいあの本を、それ(that)は彼が書いた昨年に」というふうに理解していく必要があるわけです。
では、どうやったらこの読み方が身につくのか?
そのためのトレーニング方法をスラッシュリーディング(区切り読み)といいます。
そしてこのスラッシュリーディングは、動画を活用することでスムーズに訓練できます。
以下、それを解説したいと思います。
スラッシュリーディングとは何か?
英語を前から理解する。その技術を身につけるためのトレーニングがスラッシュリーディングです。
これは英文を意味や構文のかたまりごとに区切り、それを前から順番に理解していく方法です。
たとえばI want to read the book that he wrote last year.という文章があったとします。意味的にも構文的にも、thatのところで区切れますよね。したがってこの文章では、thatのところにスラッシュ(区切り線)を入れます。
そしてスラッシュで区切ったかたまりごとに文章を理解していきます。I want to read the book(わたしは読みたいあの本を)→ that he wrote last year.(その本は彼が書いた、昨年に)というふうに。
このトレーニングを続けることで、英語を後ろから返り読みする癖が抜けて、前から順番に読めるようになるわけです。
このスラッシュリーディング、テキストに線を書き込んでいくのもいいのですが、もっと手軽な方法があります。
それが英語字幕付きの動画を見るという技です。次にそれを解説します。
英語の字幕付き動画はスラッシュリーディングになる
英語の文章を前から理解していく。そしてその技術を伸ばすためのトレーニング方法がスラッシュリーディングなのでした。
実は英語の字幕付き動画を活用すればこのスラッシュリーディングの訓練になります。
なぜか?
動画の英語字幕を読んでいけば、それが自然とスラッシュリーディングになるからです。
字幕って文章の全体が画面に表示されることはないですよね。まあ短い文章なら例外ですけどね。通常は画面に収まる部分だけが字幕表示されます。
そしてもちろん、英語字幕はネイティブの話者が話した順番で登場します。日本語の構造に対応する形で順番が変わったりすることなんてありません。
したがってそれを読んでいくと自然にスラッシュリーディングになるのです。ちょうどいいところで文章が区切られ、それが前から後ろへと流れていくからです。
これならどうあがいても後ろから返り読みなんてできませんよね。字幕は現れては消えていき、すぐに次の字幕が登場するのですから。
英語字幕付きで動画を見続ければ、英語を前から理解する体質ができあがるというわけです。
本を読むのが嫌いな人でも続けられる
この方法の利点のひとつは、読書が嫌いな人でも続けられるという点です。
語学学習には多読が欠かせないとよく言われますよね(僕もよくこのブログで言ってますが)。しかし多くの学習者にとって、読書そのものが苦痛だと思うんです。
だから多読を課すと、英語学習うんぬんの以前に読書でつまづいてしまうんですよね。それは自然なことです。
でも心配ありません。読書が苦手な人でも動画なら続けられます。自分の興味のある動画を、英語字幕付きで見るだけですから。
読書でも動画の字幕でもテキストの大量インプットであることは変わりませんから、効果も劣りません。
おまけにこの方法ならリスニングの力も伸びます。
どんな動画を見ればいい?
動画は自分の好きな分野のものを見ていきます。これが何気にいちばん大事。興味がないと続かないですからね。
「この分野は定番だから」とか「世間ではこの知識がウケるから」みたいな動機で見ていくと、すぐに飽きると思います。
スポーツ、ゲーム、音楽、サイエンス、投資、なんでもいいので自分の興味のある分野で英語の字幕付き動画を探して視聴してください。
難しくて内容がわからない動画はパスしましょう。リーディングはリスニングに比べれば負荷を高めても効果が出ますが、やはり一読して理解できるぐらいの文章でないと伸びないですからね。
それに動画で学習する場合、映像の補助があるぶんわかった気になってしまいやすい危険性があります。これだと学習効果が出ません。字幕の難易度が難しくなりすぎないように注意してください。
どちらかといえば会話よりも解説系の動画のほうがいいと思います。文章が長くていいトレーニングになりますし、スラングが少ないため逆に理解が容易なんです。
動画サイトはYoutubeで十分です。今では英語圏の動画のほとんどに英語字幕がついていますからね。これは英語学習者にとって夢のような状況。利用しない手はないです。
映画じゃ駄目なの?
英語字幕付きの映画で同じ効果を得ることはできないのでしょうか?
僕はどちらかといえば動画をおすすめします。映画は英語が流れていないシーンも多いですよね。風景描写とか。だから時間あたりのインプットは動画に比べて少なくなるんです。動画のほうが学習効率が高いんですね。
それに映画は会話が主体ですから、解説系の動画のほうが文章が長い傾向にあります。スラッシュリーディングを訓練するという観点からすれば、動画のほうが有益です。
とくにこだわりがないなら動画でいいと思います。
ただし好きこそものの上手なれですから、映画が好きという人はぜひその特性を活かしましょう。特別な熱意があれば、ちょっとやそっとのデメリットを大幅に上回るリターンが期待できます。
まとめ
以上、動画を使ってスラッシュリーディングの訓練をする方法について解説しました。最後に内容をまとめておきます。