Oodles Booksというアプリをご存知でしょうか?
日本でいうところの青空文庫にあたる存在で、著作権の切れた名作をすべて無料で読むことができます。収録作品は5万冊を超えます。
英語圏の作品だけでなく、その他地域の世界文学の古典を英訳したものも多数取り揃えています。たとえばプラトンとかゲーテとかドストエフスキーとか。日本文学の英訳もちょこっとだけあります。
しかもOodlesはオーディオブックに対応している本も多いですから、リスニング能力を伸ばすのにも使えます。オーディオブック版も無料です。
僕はよくOodles Booksを使っているのですが、使いこなすにはコツがあります。
どういう洋書を選べばいいのか?どんな洋書がおすすめなのか?
以下、くわしく解説していきます。
正しい本の選び方は?
Oodles Booksで取り扱われる洋書は、いずれも著作権の切れた古典作品です。
100年以上前の古典ですから、当然ながら英米の本は文章がむずかしいんですよね。相当な上級者でないと読みこなせないものが多いです。したがって初心者の多読には基本的にはおすすめしづらいです。
とはいえ上手く本を選べばそこまでのリーディング力がなくてもついていけたりもします。どうすればいいか?
以下の3点を意識してみてください。
2.非英語圏の洋書を英訳で読む
3.先に和訳を読む
1.子供向けの洋書を読む
まず最初に思いつく対策は、子ども向けの本を読むということです。これは王道ですね。実際、子ども向けの洋書は古典でも文章がやさしいです。
ただし必ずしも簡単とは限らないので、ちょっと読んでみて無理そうと感じたら他の作品に移ったほうがいいです。
たとえば僕は『トム・ソーヤーの冒険』と『ハックルベリー・フィンの冒険』をOodlesで読みましたが、トム・ソーヤーはまだしも、ハックルベリー・フィンは腰が抜けるほど難しかった覚えがあります。
おすすめの作品については記事の下の方で紹介します。
2.非英語圏の洋書を英訳で読む
次に知っておきたい技は、英語圏以外の本を英訳で読むことです。
面白いことに、英訳された本って英語ネイティブが書いたものより簡単になる傾向があるんですよね。なぜそうなるのかは謎です。
自分の好きな本や興味のある本(英語圏以外のもの)が英訳されていないか探してみることをおすすめします。
日本の作品もありですね。Oodles Booksではたとえば夏目漱石の『坊っちゃん』が英訳で収録されています。
ちなみに僕はドストエフスキーの本を英訳で読みました。たぶんロシア語で読んだら(ロシア語が使えても)、英語で読むより難しいと思います。
3.先に和訳を読む
3つ目の技は、先に日本語版を読んでおくというものです。どうしても難しめの洋書を読んでみたいというときには、この方法がおすすめ。
先に和訳で読んでいると、話のバックグラウンドや文脈が完全にわかっている状態で読むことになります。だから難しい箇所をスルーしても、全体としては楽々と理解できるようになるんです。
これならたとえばディケンズとかオースティンでもなんとかなったりします。僕は『オリバー・ツイスト』や『高慢と偏見』をこうやって読みました。
Oodles Booksで読めるおすすめの洋書は?
では次に、Oodles Booksで読める洋書からおすすめのものを何冊か紹介したいと思います。これならけっこう読みやすいというやつを。
バーネットの『小公女』
バーネットは19世紀から20世紀初頭にかけてアメリカで活躍した小説家。この人は児童小説も書いていて、日本ではそっちで有名です。
彼女の作品から『小公女』(原題はA Little Princess)をおすすめします。文章が本当に読みやすい。現代アメリカのペーパーバックのほとんどの作品より読みやすいはず。
そしてストーリーのフックが強く、キャラも立ってます。ほぼ確実に楽しめるでしょう。
バーネットなら『秘密の花園』(The Secret Garden)もおすすめです。こっちも日本で有名な名著。
チェーホフの戯曲
次は19世紀ロシアの文学者チェーホフの英訳をおすすめします。
トルストイやドストエフスキーに隠れがちですがこの人もすごい作家で、小説だけでなく戯曲が多いのが特徴。どちらかといえば戯曲のほうが読みやすいです。
ロシア語の原文からして「中学生の語彙だけで書かれている」と言われるほど簡素な文体で書かれています。したがって、それを英訳したものも当然読みやすい。
チェーホフの戯曲はどれも短いですから、そこもプラスですね。短いインターバルで読了の達成感を得られるので、挫折する危険性が低いのです。
『かもめ(Seagull)』や『三人姉妹(Three Sisters)』といった代表作から読んでいくのがいいでしょう。
ツルゲーネフの英訳
またしても19世紀ロシアの作家から、ツルゲーネフの英訳をおすすめします。
美しい文章で知られるツルゲーネフですが、実は読みやすさという点でも図抜けています。ロシア語の原文が易しいのかどうかはわかりませんが(僕はロシア語が読めないので)、少なくとも英訳された文章はとても読みやすいです。
19世紀の英語圏の作家にこんなに読みやすい英文を書く人がいるかと考えると、他言語の作品を英訳で読むメリットがわかると思います。
まずは代表作のひとつ『はつ恋(First Love)』あたりがおすすめ。短いのですぐに読み終わります。
シェイクスピア物語
英語圏で最大の文学者といえばシェイクスピアです。世界最高の詩人とも呼ばれますね。
彼は16世紀末から17世紀初めにかけて活動した人ですから、普通に原書を読もうと思っても難しすぎて無理です(日本でいう徒然草とかみたいなもの)
しかしチャールズ・ラムとメアリー・ラムの『シェイクスピア物語(Tales from Shakespeare)』はおすすめです。シェイクスピア作品を散文に書き直した有名な作品。
良くも悪くも詩的な技巧のないふつうの文章でシェイクスピア代表作のストーリーを読むことができます。子どもを対象読者にしているためでしょうか、文章も当時のものにしては読みやすいです。
洋書を検索するときはコピペを駆使しよう
Oodles Booksの数少ない欠点は、検索にサジェスト機能がないことです。だから作家名や作品名のスペルを完璧に知っていないと検索できないんですね。
スペルの打ち間違いに対してもシビアです。たとえばドストエフスキーはアルファベットだとDostoevskyと表記するんですが、途中のVをFと間違えたりすると検索結果がゼロになります。
ですからOodles内で検索するときは、まずグーグル検索で作家名を検索しましょう。ウィキペディアとかにアルファベットでの表記も載っていますから、それをコピーします。
次に、コピーした文字列をOodlesの検索窓に貼り付ける。こうすればスペルミスで戸惑わずにすみます。
まとめ
以上、Oodles Booksの効果的な使い方と、おすすめ洋書を解説しました。最後にざっくりまとめておきます。
最近のOodlesは広告の量がやばいです。広告のない画面で読みたいという人には、代替アプリとしてGreyebooksがおすすめ↓