音読やシャドーイングにはモデル音声が必須。
第二言語習得研究の進展もあり、これは常識になってきました。
ではどんな教材を使えばいいのか?
速読英単語系のテキストやTOEICなど英語試験の参考書が鉄板かと思います。音読やシャドーイングといったとき、ほとんどの人がこういうテキストを使っているはず。
でも正直、面白みはないですよね。すぐに飽きます。
もっとこう面白みがあって有益な教養が身につくような音声付き英語テキストはないのでしょうか?
この記事では、僕が使ったことのあるもののなかから、おすすめのテキストを紹介します。
ジェームス・バーダマン『シンプルな英語で話す日本史』
まずはジェームス・バーダマンの『シンプルな英語で話す日本史』をおすすめします。英語の多読多聴をしながら日本史の復習ができてしまう良書。
全部で100のセクションからなり、縄文時代から始まり東日本大震災で終わる構成。ページ見開きで左ページに英文、右ページに日本語訳がのってます。右ページ下側に単語集。巻末には索引もあり。
文章の難易度は高校1~2年生の教科書ぐらいですかね。シンプルというだけあって複雑な構文は出てきません。リスニングやシャドーイング、音読は易しめの文章で行うのが鉄則ですから、本書はその目的にもぴったりなわけです。
音声スピードはそこそこの速さ。シャドーイングするときは機器のほうで0.75倍速にしてもいいかもしれないですね。男性のナレーターがちょっとモゴモゴしていて聞き取りにくいのが難点か。女性陣は聞き取りやすいです。
このシリーズに付属しているCDはMP3形式なので、パソコンに音声を取り込む必要があります。そこは要注意。
ジャパンタイムズのこのシリーズは神がかっていて、他にも源氏物語や平家物語を英語で読むみたいな企画もあります。日本文学の古典に興味のある人はそちらもぜひ。
ジェームス・バーダマン『シンプルな英語で話すアメリカ史』
こちらもジェームス・バーダマンの同シリーズから。『シンプルな英語で話すアメリカ史』です。
英語を学ぶからには英語圏の国の歴史ぐらいは知っておきたいものですが、アメリカの歴史をわかりやすくザッと解説してくれる本って意外と少ないですよね。
本書は英語を学びつつアメリカ史の知識も手に入るという素晴らしすぎるアイテムです。全部で90セクション。構成は日本史バージョンと同じ。コロンブスと先住民の出会いから、オバマ大統領の当選までが書かれています。
日本史に比べると背景知識が少なくなると思うので、こちらのほうが負荷が高いです。わかりやすい本ですが、アメリカの地図が掲載されていれば最強でしたね。地理的な位置関係とか日本人にはよくわからないので。
「シンプルな英語で話す」シリーズは他にもシェイクスピア、旧約聖書、新約聖書を扱った巻が出ていて、この3冊も猛烈におすすめできます。シェイクスピアにせよ聖書にせよ英語圏の世界観のベースとなっている古典ですからね。英語のインプットをしつつ、強力な教養が入手できます。
『英語で学ぶMBAの授業』
次は藤井正嗣とリチャード・シーハンの『英語で学ぶMBAの授業』です。
MBAというのは経営学の大学院修士過程修了者に与えられる称号のこと。アメリカの経営者やビジネスエリートはけっこうな割合でMBAを取得しています。
本書は英語でそのMBAの基礎をざっくりと学ぶことができます。マーケティングから始まり会計、ファイナンス(財務)、企業戦略、意思決定のためのスキル、人材の確保などなどテーマは多岐にわたります。
内容もファイナンスのごく一部を除いて非常にわかりやすく、ビジネスとそれほど関係のない人が読んでもかなり楽しめると思いますよ。
そして音声のクオリティの高さが異常です。学生3人と先生の授業形式、会社員3人と謎の指導者ひとりの雑談、この2つのパターンがあり、交互に話が進んでいきます。授業形式のほうはハリーポッターを意識したような配役。
これが聞いているだけで楽しい。発音もきれいでわかりやすいです。CDも普通の形式なのでパソコンに取り込んだりする必要はありません。オススメ。
クリストファー・ベルトン『知識と教養の英会話』
次はクリストファー・ベルトンの『知識と教養の英会話』。英検1級の受験者がよく使っている本です。
すべてAさんとBさんの対話形式で構成されています。もちろん音声付き。普通のCDなのでパソコンへの取り込みは必要ありません。
芸術や思想、科学、経済といったさまざまな分野の一般教養がテーマになります。内容的にはそこまで踏み込んだものではないですね。
むしろ会話に使われる文章の格調の高さが本書の特徴。学者とか知識人が話すときに使うような文体です。これをコピーして日常生活で使うと変な感じになるかも。
英検やTOEFLなどの対策に使えます。
『テーマ別英単語Academic 自然科学編』
次はZ会が出している「テーマ別英単語Academic」というシリーズから自然科学編をおすすめします。
Z会というだけあって構成は速読英単語シリーズとほぼ同じなのですが、これは理数系の分野だけにジャンルを絞っているのが特徴。理系の論文やベストセラー本から文章をもってきています。
自然科学編というところがポイント。理数系の英語を読めるテキストってなかなかないですからね。このシリーズはかなり貴重。
音声も付属しています。かなり文章のレベルが高いので、まずは精読して次に音声で繰り返し内容を聞くという使い方がいいと思います。
このシリーズもやはり英検やTOEFLに役立ちます。
Leveled ReadersとGraded Readers
次はLeveled ReadersとGraded Readers。
英語学習者向けにオリジナル洋書の表現や単語を簡単なものにアレンジした本がLeveled Readers。英語圏の子どもが国語の教科書として使っている本がGraded Readersです。
どちらもよく多読教材としておすすめされるのですが、これに音声が付属しているため、実は音読とかシャドーイングのテキストとしても活躍します。
お気に入りの巻を見つけたら音声も入手して聞きまくるのがおすすめ。
くわしくは以下の記事を参考にしてください。
Oodles Books
最後はOodles Booksを紹介します。著作権の切れた洋書を無料で読めるアプリです。日本でいう青空文庫みたいなもの。
これがオーディオブックにも対応しています。すべての洋書ではないですが、有名所はだいたいオーディオブック版もダウンロードできますね。もちろん無料。
古典ばかりなので難易度は高めです。Leveled ReadersやGraded Readersが簡単すぎると感じるようなら挑戦してみてください。
いきなり聞くのではなく、すでに読み終わって内容を知っている本を聞くのがいいですね。
まとめ
以上、良質な音声付きの英語テキスト7選でした。
上手く使えば英語インプットを爆発的に増加させることができますし、アウトプットの訓練にもつながります。有効活用してみてください。