第二言語習得(SLA)研究で口を酸っぱくして強調されるのが、インプットの大切さです。
外国語を習得するには大量のインプットが欠かせないんですよね。
アウトプット力の天井も、このインプットによる基盤がどれだけしっかりしているかで変わってきます。
とはいえ、教材を揃えたり洋書を買ったりするのはハードルが高かったりします。エネルギー的にも、金銭的にも。
そこでインターネットの登場です。
ネット上の英語学習サイトを上手く活用すれば、無料でインプットを増やすことができます。これをぜひとも利用していきましょう。
以下、おすすめのサイトを紹介します。
初級者向けサイトならここ
まずは初級者向けのサイトをご紹介します。
News in Levels
英語学習者向けにニュースを届けてくれるサイト。
最初に語彙力テストがあり(1分もあれば終わるので安心してください)、その結果をもとに自分に合ったレベルの記事をおすすめしてくれます。
記事のカテゴリは8つ。歴史、自然、ニュース、スポーツなど。
こういうのはバランス良く読むよりも、自分が少しでも興味のもてる分野に特化して読んだほうが効果が高いです。
記事には動画も付いているので、リスニングの訓練もできますよ。
ニュース系のサイトを探しているのなら、まずはここらへんから始めるのがおすすめです。

攻略!ABCニュース英語
海外のニュースを日本の英語学習者向けにアレンジして届けてくれるサイト。これもおすすめ。
元々はABCニュースシャワーという名前でしたが、2019年から現在の名称に変わりました。
ニュース記事は動画がメインになっていて、それぞれの動画の長さは5分。
動画を開くと、同じニュースが3回流れます。最初は日本語字幕付き、次は字幕なし、最後に英語字幕付き。自然とバリエーション付きの繰り返し学習になりますから、普通に動画を見るだけでリスニング力が伸びていきます。
また毎回キーワードが一つ紹介され、着実に語彙力も伸ばせる構成。これも英語学習者にとってはありがたい。一つだけなのでストレスなく覚えていけます。
毎日5分の視聴を継続すると、長期的に相当な力がつきますよ。

Youtube
最大の動画サイト、ユーチューブです。実はこのサイトを英語学習に役立てることもできます。
といっても英会話ユーチューバーの動画を見るのではなく(それも悪くないですが)、英語ネイティブの動画を視聴します。
ユーチューブは字幕をつける機能や、動画の再生スピードを変更する機能があるんです。これを最大限に活用します。
海外のゲーム実況とかなんでもいいので、自分の興味のある動画を字幕付きで視聴してみましょう。娯楽感覚で見れるようになればこちらのものです。
Youtubeの英会話動画を見るにしても、日本人ではなくアメリカ人やイギリス人の動画を字幕付きで見るのがいいですよ。そのほうがインプットが増えますし、非ネイティブ向けの優良チャンネルがいくつもありますから。
中級者向けサイトならここ
では次に中級者向けのサイトを紹介します。
TED
色々な分野で活躍している有名人が行う講演会。かなり有名なので、知っている人も少なくないかと思います。
色々なトピックを扱っているため、自分に興味のある公演を見つけやすいです。
興味関心があるかどうかで英語学習の成果も変わってくるので、なるべく興味のもてる公演を視聴してください。
内容はけっこうはごたえあります。しかしスクリプトも用意されているため、あまり聞き取れなくてもリーディングの訓練になります(もちろんリスニング力も伸びる)。動画に字幕をつけることも可能です。
アプリも出ています。スマホで視聴するならアプリのほうが快適ですよ。

Stanford Encyclopedia of Philosophy(スタンフォード哲学百科事典)
次はスタンフォード哲学百科事典。スタンフォード大学の研究所が始めた哲学のオンライン事典です。すべて無料で読むことが可能。
人物や重要概念を専門家がくわしく解説しています。各項目はリンクでつながっていて、それを辿っていくだけで無限に学べます。
英文は読みやすく、説明もかなりわかりやすい。ただし専門用語は容赦なく登場します。まったくの知識ゼロで読むのは難しいかも。内容は高度ですが、英文が平易なので中級にしました。
哲学の入門書とか読んだことがあって、ある程度の知識がある人ならわりとスイスイ読めると思います。哲学や思想に関心のある人に激しくおすすめできるサイト。

上級者向けサイト
では最後に上級者向けのサイトをご紹介します。
Project Gutenberg
著作権の切れた過去の名作を無料で読めるサイト。リーディング用のサイトですね。
2020年現在ですと、61660冊もの本が収録されています。洋書専門の図書館みたいなものです。
古典ばかりですから、歯ごたえはあります。したがって上級者向けとしました。ここに収録されている本を自在に読めるリーディング力がつけば、もう洋書多読用の教材には困らないですね。

スマホで読みたいという人はOodlesというアプリをインストールしましょう。Project Gutenbergと同じことがスマホでできます。
オーディオブックにも対応しているので、リスニングの訓練にもなりますよ。
Oodlesについては以下の記事も参考にしてみてください。

Project Syndicate(プロジェクト・シンジケート)
プロジェクト・シンジケートは国際的なNPOで、世界最大の言論組織ともいわれています。Webサイトには一流の執筆陣がコラムを投稿しています。そのほとんどを無料で読むことができます。
執筆陣はきわめて豪華で、ジョセフ・スティグリッツ、ジョセフ・ナイ、ジェフリー・サックス、ロバート・シラー、ヌリエル・ルビーニなどなど。
立場はリベラルで、世界のエスタブリッシュメント界の王道を行く感じ。そのぶんアクロバティックで意外性のある論考は多くないかも。良くも悪くもお行儀がいい感じですね。
また英文はけっこう歯ごたえがありますので、上級向けとしました。


ZeroHedge(ゼロヘッジ)
ゼロヘッジは金融を専門に扱う有名なサイトです。ここを見ている投資家たちは非常に多いと思われます。
プロジェクト・シンジケートが王道だったのに対して、こちらはややアウトサイダー。金融右派とも呼ばれる人たちが執筆しています。
意外性のある見方が登場して読んでて楽しい。そのぶんキワモノ的な論考も目に付くので、リテラシーは要求されるかも。
英文はけっこうな歯ごたえ。おまけに金融の専門用語が容赦なく登場します。ということで上級向けです。

MOOC
最後はこれ。上級を超えた超上級です。
MOOCはMassive Open Online Coursesの略。海外の大学の講義を視聴できるサービスのことです。
自宅にいながら、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学といった一流大学の授業を受けることができます。
試験に参加できることもあり、成績が良ければ実際に修了証までもらえます。
このMOOCこそが、おそらく最強の学習ソース。これ以上のレベルは存在しないといっていいでしょう。
もはや英語を学ぶというよりは、英語で学ぶレベルにあります。最終到達点としてこれを見据えておくのがいいかもしれません。
さいごに
以上、無料で英語のインプット学習ができるサイトをご紹介しました。
これらを上手く使いこなすことができれば、無料でも莫大なリターンを得ることが可能です。
ただし無料サイトにも弱点はあって、それは強制力がないことです。どうしてもサボりがちになるんですよね。どうもすぐ飽きて続かないという人は、身銭を切ることを考えたほうがいいかもですね。
選択肢としては英字新聞が王道、本が好きなひとには洋書を探して読むことをおすすめします。
英字新聞については次の記事を参考にしてみてください。おすすめはジャパンタイムズ・アルファです。
・英字新聞はどれを読めばいい?【英語学習者におすすめの2紙はこれ】
おすすめの洋書は次の記事で紹介しています。
・洋書の多読ならこれを読もう【ジャンル別おすすめの名作13冊】
読書そのものが苦手という場合は、動画を活用してリーディング力を伸ばす方法もありますね。
自分に合った方法を見つけるのが重要です。そのためには、とりあえず色んな方法を片っ端から試してみるのがいいと思います。